ナツメイカが深海で大量の卵をユラユラ運ぶ様子を収めた貴重なムービーが公開される
アメリカ・カリフォルニア州にある民間の非営利海洋学研究センターのモントレー湾水族館研究所(MBARI)が、アオリイカやケンサキイカ、ヤリイカと同じツツイカ目に属するナツメイカが深海をユラユラ泳ぎながら自身の産んだ卵を運ぶ様子を収めた貴重な動画を撮影することに成功しました。
Rare Deep-Sea Video Shows a Squid Mom Carrying Its Eggs For Safety
https://www.sciencealert.com/squid-mama-carries-her-eggs-for-safety-in-rare-deep-sea-video
ナツメイカが自身の産んだ卵を抱えてユラユラと深海を泳ぐ様子を収めた貴重な動画は、以下から再生できます。
Deep-sea squid mom carries eggs to keep them safe from predators - YouTube
深海を泳ぐナツメイカ
その足に絡みつくように伸びているのが、ナツメイカが産んだ数百個もの卵です。
卵はナツメイカの体長よりも長く伸びています。
キラキラ輝く卵はまるでイルミネーションのよう。
卵はゼラチン状の膜のようなものでひとまとまりになっています。
ナツメイカの貴重な動画は、アメリカ・カリフォルニア州モスランディングにあるMBARIの施設の沖合90km、水深1390メートルで撮影されました。動画を撮影したのは4K解像度での動画撮影が可能な、遠隔操作型無人潜水機(ROV)のDoc Ricketts。
通常、ほとんどのイカは海底にゼラチン状の塊になった卵を産みつけます。しかし、MBARIの研究者は、2005年にモントレー湾の深海を調査した際に、初めて「産んだ卵を足で持って泳ぐナツメイカ」に遭遇しました。このような母親イカは、卵がふ化するまで卵を抱えて水中を移動し、赤ちゃんのふ化率を高めると考えられています。「卵を抱えて泳ぐ」というのは海底で暮らすタコにはよく見られる行為ですが、イカではこれまで3種(ツツイカ目のイカ3種)しか確認されていません。しかし、MBARIの研究者は確認されていないだけでより多くのイカが「卵を抱えて泳いでいるのでは」と推測しています。
深海の研究は非常に難しく、深海生物の行動を垣間見ることができる動画は非常に貴重です。MBARIがこれまで撮影してきた何千時間にもおよぶ深海を撮影した動画のアーカイブは、地球上で最も大きな生命空間に光を当てるのに役立っています。MBARIの研究者はこのアーカイブ動画から新種を記録し、これらの生物がどのようにエサを採り、捕食者から逃れ、繁殖するのかを調査しているとのことです。
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