「トップガン」の戦闘機・走るリモートオフィス・「フォートナイト」のバトルバスなど個性的&自由すぎる「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」のボックスカートをじっくり見てきました
子どもたちが石けん箱に入って坂道を滑る遊びが起源とされる「ボックスカート」のレースは、エンジンの動力を持たない自作の車を大人が本気で作り、急な坂道を本気で下っていくレースです。エナジードリンクメーカーでさまざまなスポーツ大会を主催していることでも知られるレッドブルは2000年から大規模なボックスカートレースを世界中で開催しており、日本でもついに2022年10月22日(土)に「レッドブル・ボックスカート・レース大阪 2022」が開催されることが決定しました。そんなボックスカートの公式レース「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」をイギリスのロンドンで観戦することができたので、レースのバックヤードに潜入してその個性的すぎるボックスカートや参加者をいろいろ見てきました。
Red Bull Soapbox Race London
https://www.redbull.com/gb-en/events/red-bull-soapbox-race-london
大会本戦の様子は以下の記事を読むとよくわかります。
個性的な自作カートで壊れても爆速で坂道を走り抜ける「レッドブル・ボックスカート・レース」をイギリス・ロンドンで見てきたよレポート - GIGAZINE
会場のアレクサンドラ・パレスは現地時間の10時30分に開場。続々と入場する観客たちが向かうのが、出場予定の車が並べられたバックヤードです。
観客たちは注目するボックスカートのところに集まり、撮影したり声をかけたりしていました。
そんなわけでバックヤードを見て回っていて気になったのが、2022年に続編「トップガン マーヴェリック」が公開された映画「トップガン」をモチーフにしたチーム「TOP GUN」です。カートは、劇中にも出てくるF-14戦闘機。ボックスカートにはミサイルが搭載されており、なんと発射することが可能。
ブースに貼られたテントにはシートが貼られていて、空母っぽく見えるようになっていました。
劇中で同じ戦闘機に乗っていた主人公のマーヴェリックとその相棒のグース(Goose)ということですが、グースはグースでもパイロット服ではなくガチョウの恰好をしています。ボックスカート・レースでは、ボックスカートに2人まで乗り込むことができます。
レースのスタート地点に向かうTop Gunチーム。
実際にマーヴェリックとグースがどんな感じでレースを走ったのかは、以下のムービーで見ることができます。なお、レースはスタート時のパフォーマンス、ボックスカートの出来によるクリエイティビティ、そして420mのコースを駆け抜けるレースタイムの3つで総合的に評価されます。コースの走りだけではなく、スタートチームによるパフォーマンスもボックスカート・レースの見どころで、審査員がその場で出す点数で会場が大きく盛り上がります。
「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」:チーム「TOP GUN」のレース模様 - YouTube
(c)Red Bull Media House
そして、長さ420mのコースを爆走するTOP GUNのF-14をパイロット目線で見るとこんな感じ。TOP GUNチームはボックスカートを戦闘機型に仕上げてきたために空気抵抗が少なかったようで、時速30マイル(約48km)近くで爆走します。
「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」で爆走するチーム「TOP GUN」の運転手目線はこんな感じ - YouTube
(c)Red Bull Media House
次に巨大なNyan Catをモチーフにしたボックスカート。チーム名は「Nyan Cart」です。
©Olaf Pignataro / Red Bull Content Pool
カートをデザインしたのは、オックスフォードから参加した男性の5歳の娘だとのこと。オレンジ色の派手なスーツを決めた男性は「日本でもNyan Catは人気なんだろ!応援してくれよな!」とコメント。
「イギリスのテレビのコメンテーターが『足回りは太い方が安定する』って言ってたからその通りにしたよ!」
座る部分はこんな感じ。
Nyan CatならぬNyan Cartがレースを爆走するところが以下。Nyan Cartの目の部分はかわいらしく動くように工夫されており、スタート前のパフォーマンス時に目が動く様子を見ることができます。
「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」:5歳の娘の思いを乗せて爆走するNyan catならぬ「Nyan cart」 - YouTube
(c)Red Bull Media House
コースはグネグネと曲がった形になっており、運転手は猛スピードでコースを下りながら、ハンドルを操作しなければなりません。さらに合計4種類の障害物が用意されており、運転手は障害物を乗り越えるか、障害物を避けてタイム短縮を狙うかを選ぶことができます。Nyan Cartは途中まで障害物もクリアしてコースを走り抜けましたが、途中でハンドルを切り損なってしまい、壁に衝突。それでもカートを手で引きずって、ゴールに到達しました。
©Leo Francis / Red Bull Content Pool
Nyan Cartのレース模様を運転手目線で見られるムービーが以下。壁に衝突する瞬間や、ゴールまでを拍手で暖かく応援する観客の姿を見ることができます。
「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」:420mのコースを走り抜けるチーム「Nyan Cart」の運転手目線で撮影したムービー - YouTube
(c)Red Bull Media House
個性的なカートが多い中、特に目を引いたのが「TEAM GO-KART-O」のボックスカート。めちゃくちゃシンプルなカートなのですが、なぜかカートの上に机が設置されており、その上にはPCやレッドブルの缶が置かれています。
製作者に話を聞いてみると、「リモートワークがテーマなんだ!」とのこと。机の上に置かれたDellのモニターには「レッドブル・ボックスカート・レースで勝利する方法」についてのオンライン会議が行われていました。また、ロンドンでのレース開催に敬意を表し、即位70周年を迎えたばかりのエリザベス2世女王にドウェイン・ジョンソンの顔をはめた写真が飾られていました。
運転手は上半身がスーツなのですが、下半身は下着のみ。これは「リモートワークでは上半身しか映らないため、下半身は下着のままでも気にならない」というネタ。
そんな「TEAM GO-KART-O」のレースの様子が以下のムービー。運転席に座っているのは「リモートワーカーが飼っているペットの犬」という設定とのこと。
「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」:リモートオフィスをそのままボックスカートにしてしまった「TEAM GO-KART-O」 - YouTube
(c)Red Bull Media House
チーム「Come What Mae」の巨大な風船の着いたバスは、人気ゲーム「フォートナイト」でプレイヤーが最初に乗り込むバトルバスでした。
車の前には「LOADING……」
ボックスカートの本体はバスの部分。
バスの屋根についている風船はなんと本物。
バスの内側には、子どもから送られたたくさんの手書きのメッセージが貼られていました。
実は、Come What Maeは小児病院のチャリティー企画としてレッドブル・ボックスカート・レース ロンドンに参加しているとのこと。ボックスカートの内側に貼られているのは、小児病院に入院している子どもたちからの応援メッセージだったというわけです。
その場にいたマシュメロにカメラを向けると、エモートのダンスをみせてくれました。
Come What Maeのバスは、本番のレースで最後の障害物を越えた瞬間に外装が大きく壊れてしまったものの、ボックスカート自体は壊れずに見事最後まで走破できました。
©Amy Heycock / Red Bull Content Pool
つづいてエントリーナンバー1番のチーム「Hagrid Flyers」は、映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part1」で、大男のハグリッドがシリウスから借りた空飛ぶバイクをモチーフにしたボックスカートを製作。
ハンドル部分にはしもべ妖精のドビーのぬいぐるみがくくりつけられていました。
サイドカー部分はこんな感じ。ボックスカートの製作には1カ月以上かかったそうで、製作費は5000ポンド(約80万円)ほどだそうです。
ボックスカートは大会による規定で4輪である必要がありますが、「空飛ぶバイク」ということで、空の部分で4輪を隠し、バイクで走っているように見せかけているのが工夫だとのこと。よく見ると、マフラー部分がレッドブルの缶でできています。
チームメンバーは4人。一番左は「名前を呼んではいけないあの人」のようです。また、ハグリッドのひときわ巨大な背丈も再現。運転手はもちろんハグリッドで、サイドカーにはハリー・ポッターが乗り込みました。
カートの最大サイズは全長4m×全幅1.5m×全高2mと規定されています。「Day of the Evil Bed」のボックスカートはこの最大サイズにギリギリ迫ったもので、おそらく今回参加したボックスカートの中でも最大とのこと。
カートの運転手は、映画「悪魔のいけにえ」のレザーフェイスをイメージしたコスチュームに身を包んでいました。
そして、ベッドに縛り付けられているのは、映画「エクソシスト」で悪魔に取り憑かれる少女リーガン。悪魔に取りつかれているはずですが、その右手にはレッドブルの缶が握られていました。「もしかして彼女はレッドブルが好きなんですか?」と尋ねたところ、レザーフェイスは「もちろん!彼女はレッドブルが好きすぎてあそこに縛り付けられているんだ!」と回答。
今回のレースで最大級のボックスカートがどんな走りを見せるのかは、以下のムービーで見ることができます。
「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン」:「DAY OF THE EVIL BED」のレース最大級ボックスカートの走りはこんな感じ - YouTube
(c)Red Bull Media House
「Martian Madness」は火星探査車をモチーフにしたボックスカートです。
©Mark Roe / Red Bull Content Pool
チームはカメラ関連の企業に勤める仕事仲間で、製作には5週間かかったとのこと。製作費用は3000ポンド(約48万円)で、そのほとんどが足回りに費やされたとのこと。
コスチュームも宇宙飛行士のスーツのようで、決まっています。この衣装もすべて手作りだとのこと。
Martian Madnessの火星探査車はやはり足回りを重視して製作されたこともあり、安定した走りを見せ……
©Mark Roe / Red Bull Content Pool
最後の障害物を越えてゴールラインに到達。ただし、探査車の横についていたタイヤはすべて吹き飛んでいました。
©Leo Francis / Red Bull Content Pool
なお、「レッドブル・ボックスカート・レース大阪 2022」は、2022年10月22日(土)に大阪の万博記念公園で開催されます。日本での開催は3年ぶり5回目で、関西での開催は初となります。
レッドブル・ボックスカート・レース大阪 2022へのエントリーは7月15日(金)までで、記事作成時点ではまだ受付中。以下のサイトにエントリーすると、カートを作るためのキットが入手できるので、カート設計図・参加動機・チーム情報を記入して7月22日(金)必着で送ればOK。自分で参加してみたいという人はまだ間に合うので、ぜひチャレンジしてみてください。細かいルールや規定については公式サイトにルールがまとめられているので、事前にチェックしてください。
Red Bull Box Cart Race Osaka 2022
https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-soapbox-japan-2022
また、今回「レッドブル・ボックスカート・レース ロンドン2022」に参加したチームのボックスカートの設計図が、公式サイトで公開されているので、興味のある人はぜひ参考にしてみてください。
・関連記事
個性的な自作カートで壊れても爆速で坂道を走り抜ける「レッドブル・ボックスカート・レース」をイギリス・ロンドンで見てきたよレポート - GIGAZINE
「人間と重力」で動く自作の車で誰よりも派手に坂道を走り抜ける「レッドブル・ボックスカート・レース」がイギリスで開幕、会場はこんな感じ - GIGAZINE
氷上を誰が最も速く駆け降りられるかで競う肉弾戦スポーツ「Red Bull Crashed Ice Boston 2019」が開幕 - GIGAZINE
レッドブル・エアレース2017最終戦インディアナポリスの予選の様子を速攻レポ - GIGAZINE
・関連コンテンツ