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データがいつどのように編集されたかを履歴として残すためのオープンソースのツールをAdobeが発表


デジタルデータがどのように編集されたり改ざんされたりしてきたのかを履歴データとして残すための技術仕様である「C2PA」に基づいた「コンテンツ認証情報を実装するためのオープンソースツール」をAdobeが発表しました。

Adobe’s Content Authenticity Initiative Team Launches Open-Source Tools for Digital Content Provenance | by Andy Parsons | Adobe Tech Blog | Jun, 2022 | Medium
https://medium.com/adobetech/adobe-content-authenticity-initiative-open-source-tools-content-provenance-193bacbd4e5a

CAI Releases Suite of Open-Source Tools to Advance Digital Content Provenance — Content Authenticity Initiative
https://contentauthenticity.org/blog/cai-releases-suite-of-open-source-tools-to-advance-digital-content-provenance

Join Adobe's @ContentAuth team on June 16 for a virtual workshop, supporting the release of three open-source tools for digital content provenance. Get all the details here: https://t.co/UCiXidzrUJ pic.twitter.com/ddy4mbWTnk

— Adobe Developers (@adobedevs)


For the developers in our community, we have a look at the three open-source tools for content provenance we've launched at @adobedevs. Read more, join our Discord, and get started with implementation today: https://t.co/4NuOwxqfnh

— Content Authenticity Initiative (@ContentAuth)


Content Authenticity Initiative(CAI)」は、クリエイターと消費者の両方に力を与える業界全体のアトリビューション標準を開発することで、オンライン上に存在するデータの信頼性と透明性を高めることを目的に、2019年に設立されたAdobe主導のコミュニティです。インターネット上で広がる誤報や偽造情報といった問題に対抗するために作成されたコミュニティで、テクノロジー・出版・人権活動・ジャーナリズムなどの業界関係者が750人以上所属しているとのこと。

これに対して、AdobeやMicrosoft、ソニー、Twitterなどのテクノロジー業界や出版業界の大手企業が集まって立ち上げられたオープン標準を策定するための組織連合が「Coalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA:コンテンツの証明性と真正性のための連合体)」で、同連合はメディアのソースと編集履歴を証明するための技術仕様として同名の「C2PA」という仕様を発表しています

CAIは、2021年後半にAdobeの有料サブスクリプションサービスであるCreative Cloudのユーザーに向けて、PhotoshopやStockといったソフトウェアで使える「コンテンツ認証情報」という仕様を実装しています。これにより、コンテンツの作成者は重要なアトリビューションデータを画像に添付し、消費者に提示することが可能となりました。


AdobeはPhotoshopで作成された画像データだけでなく、ニュース・アート・ソーシャルメディアといったものに対してもコンテンツ認証情報を採用すべきとして、暗号化技術を使用して履歴データを残すためのツールの開発に取り組んでいます。Adobeの取り組みはセキュリティ・プライバシー・アクセシビリティ・相互運用性・オープン性といった基本原則に支えられてきたとのことで、開発中のツールもこれらに則ったものとなる模様。

Adobeによるあらゆるメディアにコンテンツ認証情報を追加するためのツールがC2PAという広く多様な分野で採用されている技術仕様を採用することで、「近い将来にはウェブサイトやソーシャルメディアプラットフォーム、さらにはメタバース上でさえコンテンツ認証情報が表示されるようになります」と、Adobeのコミュニティエンジニアであるエリン・フィネガン氏は語っています。


Adobeが今回発表した「コンテンツ認証情報を実装するためのオープンソースツール」は以下の3つ。

1:JavaScriptソフトウェア開発キット(JS SDK)
JS SDKはコンテンツクレデンシャルを使用して、ブラウザベースのリッチなエクスペリエンスを開発するために必要なものを提供してくれます。JS SDKを使用することで、サイトやアプリ上にコンテンツのクレデンシャルを表示することが可能となり、コンテンツクレデンシャルを確認するためのサービス・Verifyへのリンクを作成することもできます。

GitHub - contentauth/c2pa-js: JavaScript SDK for displaying and validating C2PA data
https://github.com/contentauth/c2pa-js


2:C2PAツール
C2PAツールはコマンドラインでコンテンツのクレデンシャルを作成・検証・検索することが可能になるというもの。サイトまたはアプリのコンテンツクレデンシャルを表示するだけでなく、コンテンツクレデンシャルデータをファイルに書き込んだり検査したりすることが可能です。

GitHub - contentauth/c2patool: Command line tool for displaying and adding C2PA manifests
https://github.com/contentauth/c2patool


3:Rust SDK
Rust SDKは、Rustライブラリを介してコンテンツクレデンシャルを作成・検証・表示するカスタムアプリケーションを作成するためのソフトウェア開発キット。

GitHub - contentauth/c2pa-rs: Rust SDK for the core C2PA (Coalition for Content Provenance and Authenticity) specification
https://github.com/contentauth/c2pa-rs


なお、AdobeとCAIによるオープンソースツールに関する無料のワークショップが現地時間の2022年6月16日に開催予定となっており、以下のページから参加することが可能となっています。

Implementing Adobe’s CAI Open-Source Tools for Digital Content Provenance: A Virtual Workshop - Zoom
https://lu.ma/ke8ha57o

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in ソフトウェア, Posted by logu_ii

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