Amazon子会社の暗号化メッセージングアプリ「Wickr」が児童ポルノの温床になっているという指摘
Amazon Web Servicesが所有するWickrのメッセージングアプリで児童ポルノや性的虐待といったコンテンツが多くやりとりされており、さらにAmazonがこの問題への対応に消極的であることが関係当局によって問題視されています。
Amazon’s chat app Wickr is flooded with child sexual abuse images — and little is being done to stop it
https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/wickr-amazon-aws-child-messaging-app-sex-abuse-problem-rcna20674
Wickrのメッセージングアプリ「Wickr」は登録にユーザー名とパスワードのみを要求し、メールアドレスやその他個人情報を必要としません。ユーザーは招待や検索を介して個別またはグループでのチャットが可能で、通信はエンドツーエンドで暗号化されています。
しかし、プライバシーが保護されているのをいいことに、一部のユーザーが児童の性的虐待に関する画像や動画を共有しているとのこと。大手ネット掲示板のRedditやブログサービスのTumblrなどではWickrでの児童ポルノ取引を暗喩するメッセージが交わされており、「外部のサービスで呼びかけ、Wickrで取引する」という構図が確認されています。
アメリカの法律では、電子通信サービスプロバイダーが児童の性的虐待を発見した場合、その内容を全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)に報告することが義務付けられています。
例えば、Metaが所有するFacebook、Whats App、Instagramなどのサービスは、アルゴリズムによる検出方法を用いてプラットフォームにアップロードされた暗号化されていないテキストやメディアを常にスキャンし、児童性的虐待イメージの兆候を検出しています。MetaがNCMECに報告した児童性的虐待イメージの件数は、2021年にはFacebookで2211万8952件、Instagramで339万3654件、Whats Appで137万2696件。専門家によると、報告件数が多いということは企業がプラットフォーム上で児童搾取を検出するために積極的に取り組んでいることを示すものであり、良い兆候であるとのこと。
しかし、Wickrの児童性的虐待画像の自己報告はわずか15件にとどまりました。WickrはMetaのサービスよりもはるかにユーザー数が少ないということを考慮してもこの報告数は極めて少なく、NCMECは「このような活動を特定するための積極的な取り組みを自社で行っていないことは非常に明らかです」と、この数字に言及しています。
さらに、Wickrでの児童性的虐待画像について、Wickrとは関係のない第三者から約3500件の報告があったとのこと。これは、同社が児童ポルノを積極的に検出する作業を行わず、ユーザーが自ら発見し報告できるほど明らかにプラットフォーム上に存在させていることを示唆しているため、専門家や法執行機関は「Amazonはこの問題に積極的に取り組んでおらず、Wickrはインターネット上のオープンなサービスよりも検出のリスクが少ないために、そのようなコンテンツを取引しようとする人々を引きつけている」と指摘しています。
Amazon Web Servicesの広報担当者は「違法行為を明確に禁止する厳格な利用規約を制定しているWickrを含め、当社のビジネスのあらゆる分野において児童性的虐待コンテンツの防止に取り組んでいます。我々は違法行為の報告に対して迅速に行動し、法執行機関からの要請にも即座に対応し、適切な措置を講じています。我々の規約に違反することが判明した者は、アカウント抹消の対象となります」と述べたとこと。
NCMECのバイス・プレジデントであるJohn Shehan氏は、「Wickrは、自社のプラットフォームで取引される児童性的虐待のコンテンツを特定し、防止するための措置に関して、もっと努力する必要があります」と述べました。
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