YouTubeはウクライナ侵攻を「解放ミッション」と言及した動画など7万本と9000以上のチャンネルを削除している
YouTubeでは2022年2月にロシアによるウクライナへの侵攻が始まって以来、親ロシア政府派ジャーナリストのものを含めて多数のチャンネルや動画の削除を行っています。これはコミュニティガイドラインの「暴力的な出来事に対するポリシー」を適用したもので、最高製品責任者のニール・モーハン氏は「前例のない行動」と表現しています。
YouTube removes more than 9,000 channels relating to Ukraine war | YouTube | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2022/may/22/youtube-ukraine-invasion-russia-video-removals
YouTube removed 70,000 videos in Ukraine-related enforcement action | Engadget
https://www.engadget.com/youtube-ukraine-enforcement-action-153731598.html
モーハン氏によれば、ウクライナ侵攻に関するニュース映像は、ウクライナからの視聴回数だけでも4000万回以上で、ウクライナの周辺の国やポーランド、ロシアでも大きく伸びているとのこと。
YouTubeではコミュニティガイドラインによって、暴力的な出来事の否定や矮小(わいしょう)化、出来事を軽視するようなコンテンツを禁止しており、ポリシー違反だとしてロシア国営メディアに関連するチャンネルへのアクセスを全世界でブロックしています。
YouTubeがロシア国営メディアのチャンネルを全世界でブロック - GIGAZINE
このほかに、侵攻のことを「解放作戦」と表現したとして、ロシアの国防省や外務省のチャンネルが動画の新規アップロードができなくなっており、ロシア政府に近しいジャーナリストのウラジーミル・ソロヴィヨフ氏のチャンネルなどは削除されています。
The Guardianによると、モーハン氏は「ウクライナで起きているのは重大な暴力的事件です。そのため、ポリシーを適用して、前例のない行動を起こしました」と語ったとのこと。YouTubeはこの「前例のない行動」に関する内訳を発表していませんが、The Guardianは7万本以上の動画と9000以上のチャンネルが削除されたとしています。モーハン氏によると、その多くがロシア政府が関与しているか、ロシア政府を支持する者によるものだとのこと。
なお、ロシア政府側はYouTubeを、意のままに動かない存在ではあるものの、ブロックする予定はないことを明らかにしています。デジタル発展・通信・マスコミ省のShadayev Maksut Igorevich大臣は、YouTubeがロシアで最も人気のあるソーシャルプラットフォームであることから、ブロックはユーザーに大きな影響があると述べ、「何かを制限するときは、ユーザーが苦しむことがないということを明確に理解する必要があります」と語っています。
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