ハードウェア

「USB Type-Cをスマホの標準規格に」という案がEU消費者保護委員会を通過し法制化に大きく前進


EUの域内市場・消費者保護委員会において、無線設備指令に関する改定の見解が賛成43票、反対2票で採択されました。これは「スマートフォンのコネクタを統一して共通充電器が使えるようにする」という、10年以上にわたるEUの主張を強く推し進めるもので、2022年5月に欧州議会にかけられ、承認されれば法案の最終形についてEU各国の政府との協議が始まることになります。

Common charger: MEPs agree on proposal to reduce electronic waste | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220412IPR27115/common-charger-meps-agree-on-proposal-to-reduce-electronic-waste


European politicians on the cusp of requiring USB-C in all smartphones | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/22/04/20/european-politicians-on-the-cusp-of-requiring-usb-c-in-all-smartphones

EU plan for common worldwide phone charger port a step closer - Hardware - iTnews
https://www.itnews.com.au/news/eu-plan-for-common-worldwide-phone-charger-port-a-step-closer-579002

EUは10年以上前から「電子機器の無駄をなくして廃棄物を削減する」ことを提唱しており、その一環として、スマートフォン・携帯電話の充電器を共通化することを主張してきました。


携帯電話業界もこの意見を無視していたわけではなく、2009年にApple・Samsung・Huawei・Nokiaなど14社は自主的に充電器の規格を「調和させる」覚書に署名。覚書の失効後も一部メーカーは同内容の意向書に署名をしていますが、実際には統一はなされませんでした。

業界の自主的な動きに任せていては充電器の共通化はなされないとみたEUは法制化に動き、2022年4月20日、域内市場・消費者保護委員会において、「無線設備指令の改定に関する見解」を賛成43票、反対2票で採択しました。改定内容は、有線ケーブルで充電する携帯電話、スマートフォン、タブレット、デジタルカメラ、ヘッドホン、ヘッドセット、携帯ゲーム機、ポータブルスピーカーなどに対して、メーカーを問わずにUSB Type-Cポートの搭載を義務づけるもので、消費者は新たな機器を購入したときでも手持ちの充電器やケーブルをそのまま活用できるようになります。なお、スマートウォッチやヘルストラッカー、一部のスポーツ用品など、USB Type-Cポートを搭載できない大きさの機器は義務が免除されます。

この案は2022年5月に欧州議会の本会議にかけられ、承認されると法案の最終形について、EU各国政府と欧州議会議員が協議を行う準備が整うことになります。

USB Type-Cポート搭載の義務化に対しては、Lightning端子を利用しているAppleが「何億もの端末やアクセサリーが廃棄対象となることで、前例のない量の電子廃棄物が発生する」と強く反発しています。

AppleがEUの「スマートフォン向け共通充電器」要求への反論声明を発表 - GIGAZINE


なお、無線給電に関しても、2026年までに技術の相互運用性を求めるという提言がつけられています。USB Type-Cと違って具体的な技術は名指しされていませんが、無線給電では「Qi」が広く普及しているため、こちらは大きな反発は出ないものとみられます。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
iPhoneのLightningコネクタ廃止が欧州委員会の新法案により2024年までに実現する可能性 - GIGAZINE

「Appleは環境のためにLightningを諦めてiPhoneをUSB Type-Cに対応させろ」という主張 - GIGAZINE

AppleがEUの「スマートフォン向け共通充電器」要求への反論声明を発表 - GIGAZINE

EUの圧力でAppleがLightningコネクタを廃止する可能性 - GIGAZINE

in モバイル,   ハードウェア, Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.