ネット上の公開情報を自動抽出するスクレイピングは問題ないと改めて控訴裁判所が判断
ビジネス特化型SNSのLinkedInと、企業支援スタートアップのhiQ Labsが、インターネット上に公開されているデータを自動で抽出する「スクレイピング」の是非を巡って争っていた裁判で、最高裁判所からの差し戻しを受けた第9巡回区控訴裁判所は再び、hiQ Labsによるスクレイピングは違法ではないという判決を下しました。
UNITED STATES COURT OF APPEALS FOR THE NINTH CIRCUIT No. 17-16783 D.C. No.3:17-cv-03301-EMC
https://cdn.ca9.uscourts.gov/datastore/opinions/2022/04/18/17-16783.pdf
Scraping public data from the web is legal: US Ninth Circuit • The Register
https://www.theregister.com/2022/04/19/scraping_public_data_linkedin/
Web scraping is legal, US appeals court reaffirms | TechCrunch
https://techcrunch.com/2022/04/18/web-scraping-legal-court/
この件は、LinkedInで公開されていたプロフィールデータを、hiQ Labsがスクレイピングで取得して活用していたことが発端。
LinkedInからデータの利用をやめるようにという警告を受けたhiQ Labsは、企業の人事支援の業務が立ちゆかなくなることから、独占禁止法違反でLinkedInを提訴。一方、LinkedInもhiQ Labsをコンピューター犯罪取締法(Computer Fraud and Abuse Act:CFAA)違反であるとして訴えました。
2017年8月、連邦地方裁判所はhiQ Labsの主張を認め、LinkedInに対してhiQ Labsのアクセス制限を24時間以内に解除するよう命じました。
スクレイピングでLinkedInの公開情報を活用することに問題はないと裁判所が判断 - GIGAZINE
by big-ashb
これに対しLinkedInは控訴を行いましたが、2019年に第9巡回区控訴裁判所はhiQ Labsを支持し、ウェブスクレイピングの権利を認める判決を下しました。判決当初はネット上の公開情報がCFAAの適用範囲にあたるかについては明言しませんでしたが、2020年1月、公開情報はCFAAの適用範囲外であることも認めました。
インターネットに公開された情報は「法律による保護の対象ではない」と裁判所が認める - GIGAZINE
しかし、LinkedInも諦めず、2020年3月、連邦最高裁判所に第9巡回区控訴裁判所の判決見直しを迫りました。そして最高裁判所は2021年6月、控訴裁判所の判決を取り消して再審理を行うよう決定。
差し戻しを受けた第9巡回区控訴裁判所は2022年4月18日、改めて2019年の判決を支持し、スクレイピングは違法ではないという見解を示しました。
LinkedInの担当者は「判決を残念に思う」と述べたとのこと。一方でhiQ Labsはコメントを発表していません。
・関連記事
SNSでユーザーが公開した情報を第三者が収集することは合法なのか?LinkedInとhiQ Labsの場合 - GIGAZINE
インターネットに公開された情報は「法律による保護の対象ではない」と裁判所が認める - GIGAZINE
スクレイピングでLinkedInの公開情報を活用することに問題はないと裁判所が判断 - GIGAZINE
・関連コンテンツ