乗り物

「自動速度取締機の宝くじ」によって速度を守っていると賞金が違反者の罰金からもらえるというシステム


公道の速度制限に違反したドライバーには罰金が科せられますが、逆に「速度制限を守っているドライバーが宝くじ方式で違反者の罰金を受け取れるシステム」が、一時的にではあるもののスウェーデンで実施されていたと、オーストラリアのメディアであるAustralian Associated Press(AAP)が報じています。

Sweden's 'speed camera lottery' hit a red light years ago - Australian Associated Press
https://www.aap.com.au/factcheck/swedens-speed-camera-lottery-hit-a-red-light-years-ago/

2021年9月、オーストラリアのFacebookグループに「スウェーデンのストックホルムには『スピードカメラ宝くじ』が存在し、制限速度以下で走るドライバーはお金を獲得するプールに登録されます。賞金はスピード違反を犯した人が支払った罰金から資金提供されています」というメッセージが投稿されました。同じ投稿は9月初めから複数のアカウントによって行われているとのこと。


インターネット上の情報を鵜呑みにしない人ほど「まさかそんなシステムはないだろう」と思いそうな投稿ですが、AAPによると確かにストックホルムで「スピードカメラ宝くじ」が実施されており、同じコンセプトがスウェーデンの他の都市でもテストされたことがあるそうです。

このシステムは、スウェーデンの交通安全機関であるNTFと自動車メーカーのフォルクスワーゲンが共同開催した、「楽しく安全運転を推奨するアイデア」を募集するコンペティションで優勝したもの。考案者のケビン・リチャードソン氏は、単に自動でスピード違反をチェックする機械を設置するだけでなく、「違反者の罰金から調達された賞金」が当たる宝くじに制限速度を守った人々を登録するシステムを発表しました。

2010年9月には、ストックホルムでリチャードソン氏が考案した宝くじシステムの実験が行われました。その際の様子をまとめたムービーがこれ。

The Speed Camera Lottery - The Fun Theory - YouTube


カメラに写るのが考案者のリチャードソン氏。コンペティションが行われていた当時は子ども向けのケーブルテレビ局に勤めていたそうで、AAPの取材に対して「私は実際に人々を助けるためにゲームを適用できるのではないかと思いました」と述べています。


多くの車が行き交うストックホルムの道路。


人々の安全を守るためにも、スピード違反を減らして安全運転を促すことは重要です。


リチャードソン氏のアイデアがコンペティションで優勝した後、実際にストックホルムの道路に「宝くじ付きの自動スピード違反取り締まり機」が設置されました。


中央分離帯に置かれた装置は横を通る車のスピードを検出し……


速度を守る車と速度違反の車を識別しています。


この装置の前に設置されているカメラが撮影した写真と組み合わせ、速度を守った車は自動で宝くじに登録される仕組みです。


3日間の実験で2万4857台の車が装置の横を通りました。


「普段から法律を守って運転しているけど、当たるかな」と話す警察官。


「法律を守って運転してお金がもらえるなんて、本当にいいね。完璧だよ!」と、今回の実験を歓迎する男性も。


実験前、この道路を通る車の平均速度は時速32kmでしたが……


実験期間中は時速25kmと、実に22%も速度を低下させる効果を発揮しました。NTFによると、実験期間中には5人が宝くじに当選し、1人に2万スウェーデンクローネ(約25万円)、4人に1万スウェーデンクローネ(約12万円)が支払われたそうです。


その後も2011年5月と6月に、スウェーデンのヘルシンボリカルマルカールスタードイェヴレウメオなどでも同様の実験が行われました。ところが、それ以降は交通当局や政治家がこのアイデアを推進しようとしなかったため、記事作成時点では宝くじシステムは実施されていないそうです。また、実験期間中の賞金はリチャードソン氏のアイデアの通りに「違反者が支払った罰金」から調達されたのではなく、フォルクスワーゲンから提供されたものだったとのこと。

AAPは記事の発端となったFacebookの投稿について、「部分的には正しいです」と認めつつも、2010年と2011年の短期間のみ実施されていただけで、記事作成時点では廃止されていると指摘。また、実際には賞金が違反者の罰金から支払われていないことも指摘し、「コンテンツには事実に関する誤りも含まれています」と結論づけました。

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in 乗り物,   動画, Posted by log1h_ik

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