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「Googleによる過去最大の個人情報侵害」の調査を怠ったとしてデータ保護機関が訴えられる


Googleはリアルタイムビッディング(RTB)と呼ばれる広告管理システムを提供しています。アイルランドの人権保護団体・ICCLは、このRTBが「ユーザーの個人情報を何千もの企業に送信しており、EU一般データ保護規則(GDPR)に違反している」と主張してきましたが、アイルランドのデータ保護委員会(DPC)がGoogleへの調査を3年半にわたって怠ってきたとして、DPCに対する訴えを起こしました。

ICCL sues DPC over failure to act on massive Google data breach - Irish Council for Civil Liberties
https://www.iccl.ie/news/iccl-sues-dpc-over-failure-to-act-on-massive-google-data-breach/

今回ICCLが問題にしているRTBは、広告の出稿主と広告掲載メディアをリアルタイムで結ぶ仕組みで「リアルタイム入札」とも呼ばれています。RTBの仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

リアルタイムビッディング(RTB)とは何ですか? – GIGAZINE.BIZ


ICCLによると、GoogleはRTBを数百万件のウェブサイト上で運用しており、それらのウェブサイトを訪れるユーザーは気づかないうちに個人情報を収集され、数千の企業に個人情報を閲覧されているとのこと。ICCLはユーザーが企業による個人情報の扱いを指定できない点を問題視し、この状況が企業に対して個人情報の保護を求めるGDPRに違反していると主張しています。

ICCLのシニアフェローを務めるジョニー・ライアン氏は、上記の主張を2018年9月12日にDPCに対して申し立てており、DPCは申し立てから8カ月以上経過した2019年5月22日にGoogleへの調査を開始したと発表しました。しかし、ICCLは「GoogleのRTBがこれまでに記録された中で最大のデータ侵害を行っているにもかかわらず、DPCは2022年3月に至るまでRTBから人々を保護しなかった」と主張し、DPCに対してGoogleへの調査を実施するように求める訴えを起こしました。


ICCLのエグゼクティブ・ディレクターであるリアム・ヘリック氏は「ライアン氏による2018年の申し立て以降、DPCは3年半にわたってGoogleへの調査を怠ってきました。このため、ヨーロッパの人々の権利が危険にさらされています。DPCに権利侵害について調査させようとする取り組みは繰り返し失敗しました。ヨーロッパ人と私たちは、デジタルの権利の保護を確認するために法廷に臨みます」とコメントしています。なお、DPCはライアン氏の弁護士とのやりとりの中で、苦情処理を遅延させているとの主張を否定しているとのことです。

なお、ICCLは過去に「ウェブサイトに表示される個人情報の取り扱いに関する同意を求めるポップアップ」がGDPRに違反しているとする申し立ても行っています。この件についてはベルギーのデータ保護機関によってGDPR違反が認められており、2022年2月2日にはポップアップの仕組みを運営するIAB Europeに対して約3200万円の罰金が科されています。

ページを見ると最初に表示されるあの「同意を求めるポップアップ」のIAB Europe版がGDPR違反だと指摘される - GIGAZINE

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in メモ, Posted by log1o_hf

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