サイエンス

「北極圏の海底に大穴が空きまくっている」という報告


アメリカの研究チームが「北極圏の海底に大穴が空いている」という調査結果を発表しました。研究チームは「北極圏全体で大きな変化が生じているというのは知られていますが、海底における変化を確認したのは今回の研究が初めてです」とコメントしています。

Rapid seafloor changes associated with the degradation of Arctic submarine permafrost | PNAS
https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2119105119

Mapping reveals rapid changes to the Arctic seafloor as ancient submerged permafrost thaws - MBARI
https://www.mbari.org/arctic-seafloor-mapping-permafrost/

新たに北極圏の永久凍土の融解によって海底に大穴が空いたという研究結果を報告したのは、アメリカ・カリフォルニアに位置する非営利海洋研究所のモントレー湾水族館研究所。同研究所が継続的に続けてきた北極海の一部にあたるボーフォート海の海底調査の結果を分析したところ、2010年~2019年の10年間で複数の大穴が空いたことが判明しました。

複数ある大穴の中でも最大クラスのもののイメージ図が以下。これらの穴はいずれも外形が不規則であるため形状の表現が困難ですが、大まかには縦220m×横74m×深さ24mほどで、同研究所いわく「最高6階建てのビルが並ぶ街がスッポリ入るサイズ」とのこと。


今回の研究では、これらの大穴は「マルチビーム測深」と呼ばれる手法で測定が行われました。モントレー湾水族館研究所は所有している縦横1メートルの精度で海底の深度を計測できる自律型無人潜水機を用いて、ボーフォート海近郊をマッピングするという調査を2013年と2017年、2019年に実施。都合3度の計測で海底に空いた穴が急速に大きくなっていたことから、一連の結果を論文として発表したとのこと。

近年における自然の急速な変化は人類の生み出した気候変動が原因と解釈されるケースがほとんどですが、ボーフォート海の海底水温は温暖化の傾向を示していないため、研究チームは「今回報告した大穴は気候変動によって直接的に生み出されたものではない」と語っています。研究チームが原因だと推測しているのは「汽水性の地下水」で、地中から湧き出た塩分濃度の低い水が海底に滞積する永久凍土中の氷を溶かして地下空洞を形成。この地下空洞が崩壊した結果、大規模な陥没穴が空いたものだと推測しています。

また、今回の発表とは別に、2022年3月10日にはカリフォルニア工科大学の研究チームが「北極海の氷が過去18年で薄くなっている」と発表しています。この報告によると、北極海の海氷は過去18年で体積を3分の1も失っているというだけでなく、直近の減少傾向は特に著しく「3年で16%」も体積を失っているそうで、海底においても海上においても、氷がなくなりつつあるようです。

New observations from ICESat-2 show remarkable Arctic sea ice thinning in just three years - AGU Newsroom
https://news.agu.org/press-release/new-observations-from-icesat-2-show-remarkable-arctic-sea-ice-thinning-in-just-three-years

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in サイエンス, Posted by log1k_iy

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