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ネット上の悪評を消す会社が虚偽のDMCAと法的通知で顧客に不利な記事を削除する方法が白日の下にさらされる


政治家や実業家からのオファーを受けて、ネット上から顧客の不利な情報を削除しようとたくらむ企業がどのような活動を行っているのかが、デジタル権利やデータの保護を専門とするNGOのQuriumによって明らかになりました。

Dark Ops Undercovered: Episode I – Eliminalia – Qurium Media Foundation
https://www.qurium.org/forensics/dark-ops-undercovered-episode-i-eliminalia/

Exposed documents reveal how the powerful clean up their digital past using a reputation laundering firm - Rest of World
https://restofworld.org/2022/documents-reputation-laundering-firm-eliminalia/

事の発端は、Quriumが法律事務所を名乗る組織から「Quriumが運営するウェブサイトが法律に違反している」という内容のメールを受け取ったことでした。そのメールには、Quriumが運営するウェブサイトのMaka AngolaとThe Elephantがデジタル・ミレニアム著作権法(DMCA)および一般データ保護規則(GDPR)に違反していると記されており、ただちに当該コンテンツを削除するよう求められていました。

このメールを不審に思ったQuriumが調査したところ、メールはベルギーのブリュッセルにある欧州委員会管轄の建物内から送信されていたものの、そこはただの賃貸事務所であり、メールは正式な欧州委員会の組織による送信ではないことが判明。さらにメールはフランスやウクライナなど複数のサーバーを経由しているなど不審な点が見られました。最終的に、メールは複数の国で法人登録が行われている「Eliminalia」という組織から送信されていることが明らかになります。


Eliminaliaは評判管理会社を名乗り、「あなたの過去を消し去り、あなたの未来を築くのを助けます」などとアピールしている企業。顧客の依頼を受けると、まず削除したいコンテンツのコピーをウェブサイト上に作成し、作成日のタイムスタンプをオリジナルより前に変更したうえで、GoogleへDMCAの申し立てを行うという手順を踏んでいることがQuriumの調査により明らかになります。

また、前述の賃貸事務所から得られたドメインを利用し、偽のGDPRに基づく削除要請のメールも送信することで信ぴょう性を高める手法や、大量のコピーサイトを作成して、オリジナルサイトの検索結果表示順位を下げるという手法も採っていたとのこと。


また、ジャーナリストNPOのRest of WorldがEliminaliaについて調査したところ、同社の顧客にはドミニカ共和国の元外相や、仮想通貨の問題で起訴された個人、ビジネスマンなどが含まれ、およそ1万7000件のウェブサイトやYouTube動画の削除を求める依頼が行われていたことが分かっています。

ただし、Googleなどの検索エンジンに対しては、個人名を含む検索キーワードによる検索結果の削除を求める「忘れられる権利」がユーザーにあることが、2014年5月の欧州連邦司法裁判所の判決により認められています。Eliminaliaもこの判決に基づいたビジネスを展開しているとのことで、今回判明した詐欺のようなメールについては、同社の広報担当者が「競合他社が我々の信頼を落とすために、我々になりすまして送信した」と説明しているとのこと。また、Rest of Worldが発見した顧客のリストについても「いずれとも契約関係はない」と話しているとのことです。

Rest of Worldは「Quriumの調査以来、著作権侵害を訴えるために利用される偽のウェブサイト作りがより洗練されてきました。DMCAとGDPRは今回のように使用されるようには設計されておらず、政策立案者と裁判所は業界に対処するための重要な措置を講じていません」と述べ、規制が必要な点を強調しています。

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in ネットサービス, Posted by log1p_kr

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