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欧州議会で「ビットコインマイニング規制法案」が棄却される


欧州議会に提出された仮想通貨に関する幅広いテーマをカバーする規制パッケージ「Markets in Crypto-Assets(仮想通貨市場法案、MiCA)」について、ビットコインなどの基盤となるコンセンサスアルゴリズム「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」を禁じる条項が排除されました。

Cryptocurrencies in the EU: new rules to boost benefits and curb threats | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20220309IPR25162/cryptocurrencies-in-the-eu-new-rules-to-boost-benefits-and-curb-threats

Proposal Limiting Proof-of-Work Is Rejected in EU Parliament Committee Vote
https://www.coindesk.com/policy/2022/03/14/proposal-limiting-proof-of-work-is-rejected-in-eu-parliament-committee-vote-sources/

EU Parliament backs off plans to phase out energy-hungry cryptocurrencies - The Verge
https://www.theverge.com/2022/3/14/22977132/bitcoin-european-union-parliament-ban-proof-of-work-cryptocurrencies

MiCAは欧州議会がかねてより議論していた主要仮想通貨やステーブルコイン、マイニングや取引プラットフォーム、セキュリティトークン、分散型金融(DeFi)など仮想通貨に関する126の条文で構成される規制枠組み。このMiCAに関する投票が2022年3月14日に実施され、話題を呼んでいた「PoW規制条項」が23対30の反対多数で否決されました。

PoWはビットコインなどの一部仮想通貨が採用しているコンセンサスアルゴリズムで、取引をブロックチェーンにつなぐためのシステム。仮想通貨は計算処理速度に応じて新規発行分を得られるというマイニングという仕組みを採用していますが、PoWは「意図的にエネルギー効率を悪くしたプロセス」と呼ばれるほど、計算コストが高い仕組みとされています。

PoWを採用するビットコインのマイニングで消費される電力は「国家レベル」とも評されており、近年の環境問題に対する意識の高まりなどを受けて、今回のMiCAに規制法が盛り込まれていました。

国家レベルの電力を消費するビットコインマイニングの消費電力量をケンブリッジ大学が分かりやすく解説 - GIGAZINE


直近ではロシアによるガス供給停止措置を受け、さらにエネルギー不安が加速している状況でしたが、欧州議会は反対多数で問題の条項を否決。ただし仮想通貨と環境問題に関しては今後も協議が続けられる見込みで、「持続可能な投資」という定義を受けられるよう、別個に検討が行われるとのこと。

以上のようにPoW規制条項については否決されましたが、MiCA自体は31対4の賛成多数で採決されており、今後は法制化に向けて欧州議会・欧州理事会・欧州委員会の代表が協議を行う、いわゆる「三者対話」が開かれる予定です。

なお、仮想通貨のコンセンサスアルゴリズムについてはPoWよりも計算負荷が低い「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」が存在しています。仮想通貨の中には消費電力削減を掲げてPoWからPoSへの移行を進めているイーサリアムという前例がありますが、代表格として扱われるビットコインについてはこれまでに投じられた計算機器の投資コストなどの観点から、「移行は実質的に不可能」とされています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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