ビットコインの価格が8%も急騰、バイデン大統領が仮想通貨に関する大統領令に署名したのち
現地時間の2022年3月9日、アメリカのジョー・バイデン大統領が仮想通貨に関する大統領令に署名しました。この大統領令は仮想通貨などの金融デジタル技術においてもアメリカが主導的な役割を担うために出されたもので、デジタルドル発行も視野に入れながら、同分野で先行する中国に対抗し、経済制裁を回避するための手段として仮想通貨を利用するのではないかとウワサされるロシアへの対抗措置とすることが狙いです。
Bitcoin (BTC) jumps as Biden announces cryptocurrency executive order
https://www.cnbc.com/2022/03/09/bitcoin-btc-jumps-after-treasury-statement-on-crypto-executive-order.html
Bitcoin Price Surges on Biden’s Crypto Executive Order - WSJ
https://www.wsj.com/articles/biden-to-order-study-of-cryptocurrency-risk-creation-of-u-s-digital-currency-11646823600
Biden Issues Long-Awaited US Executive Order on Crypto
https://www.coindesk.com/policy/2022/03/09/biden-issues-long-awaited-executive-order-on-crypto/
Biden takes big step toward government-backed digital currency
https://www.nbcnews.com/tech/crypto/us-government-digital-currency-rcna19248
Joe Biden’s new crypto executive order, explained - Vox
https://www.vox.com/recode/22969662/crypto-bitcoin-biden-new-executive-order
バイデン大統領が署名した大統領令は、仮想通貨市場がアメリカ経済におよぼす影響について連邦当局に調査するよう促すためのものであり、直接仮想通貨を規制するようなものではありません。大統領令の発効後、数カ月かけて当局が調査を行い、これをベースにホワイトハウスは新たな規制措置を講じることとなるわけです。
仮想通貨関連のデータをまとめる調査企業のCoin Metricsによると、バイデン大統領が仮想通貨関連の大統領令に署名したのち、大手仮想通貨であるビットコインの取引価格が約8%も高騰。なお、ビットコインだけでなくイーサリアムを含む「その他の仮想通貨でも同様に取引価格の高騰が確認された」と経済メディアのCNBCは報じています。
今回の大統領令は仮想通貨業界および投資家に広く歓迎されており、資産管理会社・Ikigai AssetManagementのトラビス・クリングCEOは「今回の大統領令はアメリカ政府が仮想通貨を禁止しておらず、むしろそれを受け入れる姿勢であることを明らかにしました」と言及。
ウクライナ侵攻により国際社会から孤立しつつあるロシアは「仮想通貨を使ったマネーロンダリングで経済制裁を回避するのでは」とウワサされています。そのため、今回の大統領令ではアメリカによるロシアへの経済制裁やマネーロンダリング対策に、仮想通貨がどのような影響をおよぼすかについても調査が命じられています。なお、仮想通貨取引所のCoinbaseは仮想通貨を用いたマネーロンダリングについて、ロシア中央銀行が準備資産として保有する6300億ドル(約73兆円)超という金額は仮想通貨でいうと全通貨の1日の総取引量の5~10倍に相当するものであり、誰にも気づかれることなく、相場にも影響を出すことなく取引を行うことは不可能であるとも指摘しています。
ロシアが仮想通貨を使って経済制裁を回避するのではという声、専門家は「仮想通貨を使ったマネーロンダリングは不可能」と指摘 - GIGAZINE
また、大統領令の中ではデジタルドルの発行についても提言されています。デジタルドルは日本で言うところの中央銀行デジタル通貨(CBDC)のようなもの。今回の大統領令ではあくまでデジタルドルの「潜在的な技術インフラストラクチャーとニーズの調査」が指示されただけであるため、今後の調査を経て、実際にデジタルドルが発行されるか否かが決められることとなります。
なお、今回の大統領令が設けた調査期間は「6カ月」なので、早ければ2022年9月にも規制当局からの調査報告が提出され、これをベースとした政策提案が行われる可能性があります。
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