AppleにスパイされないためにApple Storeの従業員はAndroidスマホを使っている
アメリカ日刊紙のワシントン・ポストが、Apple Storeの従業員が労働組合を結成し、密かに企業と交渉を行う準備を進めていると報じています。労働組合はAppleと交渉を進める上で企業側からの盗聴を避けるために、所有している携帯電話をiPhoneではなくAndroidスマートフォンに変更したとのことです。
Apple Stores employees make effort to unionize - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/2022/02/18/apple-retail-stores-union-labor/
Apple Employees Are Unionizing and They’re Using Android Phones to Keep Apple From Spying on Them
https://futurism.com/the-byte/apple-union-android
Appleによれば、Apple Storeは世界中に500店舗以上存在します。そのうちアメリカだけで270店舗以上があり、6万5000人以上の従業員が雇用されています。証券取引委員会への提出書類によると、2021年会計年度の総売上高3660億ドル(約42兆円)のうち、Apple Storeとオンライン通販を通じた売上が36%を占めているとのこと。
しかし、匿名でワシントン・ポストの取材に応じたApple Storeの従業員は、「AppleはApple Storeの従業員と会社の利益を共有できていません」と述べています。Apple Storeの従業員は市場や立場によって時給17ドル(約1950円)から30ドル(約3400円)の給料を受け取っており、さらに1000ドル(約11万円)~2000ドル(約23万円)のストックオプションを受け取ることができます。しかし、こうした賃金は長年のインフレに追いついていないと匿名従業員は主張しています。
匿名従業員によれば、Apple Store従業員の労働組合は少なくとも2店舗分が存在しており、連邦政府の独立行政機関である全米労働関係委員会(NLRB)に書類を提出する準備を進めているとのこと。さらに6つの店舗で労働組合が結成されつつあるそうです。
ワシントン・ポストによると、労働組合の結成に関わる従業員は、Apple側から情報を盗み見られることを警戒し、iPhoneではなくAndroid携帯に切り替えたとのこと。
Appleは過去にも「Appleの特別捜査員が警察官を装ってiPhoneのプロトタイプを回収した」と報道されたり、元従業員が「個人用iCloudアカウントを仕事用のアカウントに紐付けなければならないのはプライバシーの侵害である」と指摘されたりと、その秘密主義や行き過ぎた従業員管理を批判されることが多くありました。
Apple Storeの元従業員だったヤネケ・パリッシュ氏は「Appleは、Apple Storeが労働組合の結成に目を向けていると考えています。彼らはApple Storeの従業員がどれだけ不幸なのかを見ていると思います。ただ、AppleはどれだけのApple Storeが労働組合の組織化をどのぐらい進められているのかは把握していません」とコメントしました。
・関連記事
Appleのティム・クックCEOの給料が社員平均1477倍の100億円超なのはおかしいと投資家グループが株主に呼びかけ - GIGAZINE
Amazonが最大基本給を1800万円から2倍以上の4000万円にアップ、「労働市場の競争激化」が理由 - GIGAZINE
Appleがサードパーティー決済の売り上げに27%の手数料を課すと発表、開発者からは怒りと落胆の声 - GIGAZINE
Appleが転職阻止のため最大2000万円相当のボーナスを支給 - GIGAZINE
・関連コンテンツ