鋼鉄より硬くプラスチックのように軽い新物質を「不可能」といわれた手法で開発
密度が鋼鉄の約6分の1しかないにもかかわらず、強度は鋼鉄の約2倍。軽量で、簡単に製造でき、さらには液体を完全に通さない可能性も秘めた新素材「2DPA-1」が作成されました。
Irreversible synthesis of an ultrastrong two-dimensional polymeric material | Nature
https://www.nature.com/articles/s41586-021-04296-3
New lightweight material is stronger than steel | MIT News | Massachusetts Institute of Technology
https://news.mit.edu/2022/polymer-lightweight-material-2d-0202
マサチューセッツ工科大学のYuwen Zeng氏らが開発した「2DPA-1」は主にメラミンで構成されており、雪の結晶などに見られる自己組織化のプロセスで平面上に広がっていく物質です。
分子どうしが多数結合したポリマーは通常3次元的に膨張していくものであり、シートのような2次元構造をとるのは不可能だとされてきました。しかし、Yuwen氏らはポリアラミドと呼ばれる新しい重合反応プロセスを考案し、2次元的に成長する物質を作り上げることに成功したとのこと。
2DPA-1の変形のしにくさを示す弾性率は防弾ガラスの4~6倍、鋼鉄の約6分の1の密度でありながら、降伏強さは鋼鉄の約2倍だとのこと。もう1つの重要な特徴は、隙間なく結合することから気体を通さないということであり、将来的に気体や液体を完全に通さない極薄のシートを開発できる見込みがあるとのこと。
Yuwen氏らは「成長のプロセスは溶液中で自然に発生します。今回の研究の進歩により、非常に薄いのに非常に強力という材料の成型がはるかに容易になりました」と述べました。Yuwen氏らは、2DPA-1がどのように形成されるのか、分子構成を変更することも可能なのか、より詳しく研究しているとのことです。
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