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Intelが2兆円超でオハイオ州に世界最大の半導体製造工場を建造へ


Intelが200億ドル(約2兆3000億円)以上の初期投資を行い、アメリカ・オハイオ州に2つの新しい半導体工場を建設する計画を発表しました。この投資は世界中で高まる半導体需要に対応し、生産を拡大し、Intelの新世代の革新的な製品を供給していく戦略「IDM 2.0」の一環となります。

Intel Announces Next US Site with Landmark Investment in Ohio
https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/intel-announces-next-us-site-landmark-investment-ohio.html

What we know about Intel’s $20 billion bet on Ohio - The Verge
https://www.theverge.com/2022/1/22/22895447/intel-ohio-chip-fab-manufacturing-cpu-processor-explained

How Mike DeWine, Jon Husted got Intel to come to Ohio
https://www.dispatch.com/in-depth/business/2022/01/21/how-mike-dewine-jon-husted-got-intel-come-ohio/9183683002/

Intel's $20 bln Ohio factory could become world's largest chip plant | Reuters
https://www.reuters.com/technology/intel-plans-new-chip-manufacturing-site-ohio-report-2022-01-21/

Intelがオハイオ州での大規模な半導体工場建設計画を発表したことを受け、同州のマイク・デワイン知事は「本日の発表はオハイオ州にとって記念碑的なニュースとなります。Intelの新しい向上はオハイオ州で何千もの高収入の雇用を生み出し、戦略的に重要な半導体を製造することで、我々の州に変革をもたらすこととなります。高度な製造、研究開発、多彩な人材はオハイオ州のDNAの一部となっており、未来を支える半導体技術がオハイオ州で製造されることを誇りに思います」とコメントしています。


一方、Intelのパット・ゲルシンガーCEOは「Intelの投資は弊社がアメリカの半導体製造におけるリーダーシップを回復するための重要な取り組みのひとつです。今回の投資は、より回復力のあるサプライチェーンを構築し、今後数年間にわたり高度な半導体を提供できる信頼できる設備を確保することにつながります。Intelは世界の半導体産業を強化するために、最先端の機能と能力をアメリカに持ち帰ってきます。オハイオ州に建設する工場は、Intelの国内研究所からファウンドリへのパイプラインを強化し、研究とハイテクにおけるオハイオ州のリーダーシップを強化する、アメリカでの高度な半導体製造の新しい拠点となります」と語りました。

今回の投資により、建設段階でIntel社内で3000件、建設関連で7000件の雇用が創出され、全体で数万件の地域(オハイオ州)での長期雇用が生み出されることになるとIntelは予想しています。

建設予定の半導体製造工場のイメージ画像


建設予定地はオハイオ州リッキング郡の郊外にある約1000エーカー(約4平方km)という広大な土地で、Intelは「メガサイト」と呼称しています。この土地には合計8つの半導体製造工場を建設することが可能で、運用およびエコシステムのパートナーのサポートに利用されるケースもあるとのこと。なお、Intelはこのメガサイトについて、「メガサイトへの総投資額は今後10年間で1000億ドル(約11兆円)に達する可能性があり、世界最大の半導体製造地のひとつとなるでしょう」とアピールしています。

メガサイトにおける初期投資の費用が200億ドルであり、この投資で最初の2つの半導体製造工場が建設されることとなります。建設は2022年後半に開始予定で、2025年にはこれらの工場での生産がスタートとなる見込み。なお、オハイオ州にとっては40年ぶりのIntelの製造拠点となります。

今回のIntelの投資は半導体機器や材料のサプライヤー、Intelの事業を現地でサポートする数十のエコシステムパートナーに至るまで、さまざまな企業を引き付けることが期待されています。これらの企業による投資はオハイオ州に多大な利益をもたらすだけでなく、アメリカのより広範な半導体エコシステムにも多大な経済的影響をおよぼすことをIntelは期待しています。すでに、Air Products、Applied Materials、LAM Research、Ultra Clean Technologyといった企業がメガサイトの構築をサポートするための計画を発表しており、Intelは「将来的にさらに多くの企業が参画することが見込まれます」とし記しました。

建設予定地は約1000エーカーの「メガサイト」


Intelの製造・サプライチェーン・運用担当シニアバイスプレジデントのKeyvan Esfarjani氏は、「半導体製造工場は他の工場とは異なります。この半導体メガサイトを構築することは、サポートサービスやサプライヤーによる活気に満ちたコミュニティにより形成される小さな都市を構築するようなものです。オハイオ州は優秀な人材へのアクセス、堅牢な既存のインフラストラクチャー、製造業の一大拠点としての長い歴史を持ちます。そのため、Intelのアメリカでの事業拡大の足掛かりとするには理想的な場所であるとも言えます。ただし、オハイオ州でのIntelの半導体製造拠点の建設は、CHIPS法からの資金提供に大きく依存しています」と述べています。

加えて、Intelは地域の熟練した人材を確保するためのパイプラインを構築するために、オハイオ州大学およびコミュニティカレッジ、アメリカ国立科学財団と協力して、今後10年間で約1億ドル(約110億円)を投資することも発表しています。このパートナーシップは共同研究プロジェクトから、学位プログラムのための半導体カリキュラムの構築まで、さまざまな範囲に及びます。

メガサイトに建設される半導体製造工場は持続可能性についても取り組む予定で、環境への影響を最小限に抑えるためにグリーンビルディングの原則に基づき設計・建設が行われ、100%再生可能エネルギーで電力が供給される予定です。


なお、Intelのシニアバイスプレジデントであるランディル・タクール博士は「オハイオ州の工場ではオングストローム世代の半導体を製造するために設計された、Intel 18Aのプロセステクノロジーをサポートしています」と語っています。

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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