「誤情報を含むコンテンツはSNSから削除すべきではない」とするレポートをイギリスの王立学会が発表
世界最古の学会である王立学会が、インターネット上にあふれる科学的な誤情報の対処法は「インターネット上から誤報を削除しないことである」というレポートを発表しました。
The online information environment | Royal Society
https://royalsociety.org/topics-policy/projects/online-information-environment/
Royal Society cautions against online censorship of scientific misinformation | University of Oxford
https://www.ox.ac.uk/news/2022-01-19-royal-society-cautions-against-online-censorship-scientific-misinformation
Tackle scientific misinformation, but don’t delete it, says UK Royal Society report – POLITICO
https://www.politico.eu/article/tackle-scientific-misinformation-but-dont-delete-it-says-u-k-royal-society-report/
新型コロナウイルス感染症の症状や治療法、ワクチンの安全性についての情報には誤った内容を含むものも多く存在します。TwitterやFacebookをはじめとするソーシャルメディアプラットフォームは、虚偽の内容を含むコンテンツを削除したり、誤情報を拡散するアカウントを停止したりすることで問題に対処してきました。
Twitterが新型コロナウイルスワクチンに関する誤情報を削除すると発表 - GIGAZINE
王立学会は2022年1月19日にインターネット環境に関する最新レポートを発表しています。このレポートの中で、王立学会は誤情報を削除する代わりに、独立したファクトチェック機関に持続的に資金を提供し、科学的に誤った情報を含むコンテンツを監視し、これらを情報源とするようなコンテンツを制限することで、誤情報の拡散を抑制することが正しい対処方法であるとしました。
レポートの作成に携わったケンブリッジ大学統計研究所の数学教授であるフランク・ケリー氏は、「大多数の人々はインターネットが科学に対する国民の理解を向上させたと信じていますが、オンラインの誤情報が現実世界に害を及ぼすことも否定できません」と語っています。
また、Googleのチーフインターネットエバンジェリストであり、レポート作成メンバーのひとりでもあるヴィントン・サーフ氏は、「オンライン上のコンテンツを削除するのではなく、収益化をオフにしたり、ファクトチェックラベルをつけたり、推奨アルゴリズムで規制したりすることで、科学的な誤情報の影響を抑制することができると思います」と語りました。
同じくレポート作成に携わったオックスフォード大学ロイタージャーナリズム研究所のラスムス・クライス・ニールソン教授は、情報へのアクセスが制限されていれば、たとえそれが誤情報を含むものであったとしても、「多くの市民が最悪の誤解をすることはないだろう」と語っています。
レポートでは誤情報の拡散を抑制するための施策として、以下のいくつかの方法を推奨しています。
・複数の独立したファクトチェック機関のサポート
・科学的誤情報の情報源を監視・軽減
・一般市民の情報リテラシーを向上させるための投資
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