サイエンス

成人の減量を目的とした初のGLP-1薬「Wegovy」の錠剤をFDAが承認


現地時間の2025年12月22日、アメリカにおける医療品規制を行うアメリカ食品医薬品局(FDA)が、初の経口肥満治療薬(GLP-1薬)としてデンマークを拠点とする製薬会社Novo Nordiskの「Wegovy」錠剤を承認したことが明らかになりました。

FDA approves Novo Nordisk's Wegovy® pill, the first and only oral GLP-1 for weight loss in adults
https://www.prnewswire.com/news-releases/fda-approves-novo-nordisks-wegovy-pill-the-first-and-only-oral-glp-1-for-weight-loss-in-adults-302648344.html


Wegovy錠剤は肥満の成人や体重に関する健康問題を抱える過体重の成人が、カロリー制限食と運動量の増加と併用することで、減量維持を助けることができるという経口肥満治療薬です。Wegovy錠剤は過体重または肥満で心血管疾患を患っている成人の死亡、心臓発作、脳卒中などの主要な主要心血管イベント(MACE)のリスクを軽減する事にも適しているとされています。

Novo Nordiskのアメリカ事業部でエグゼクティブヴァイスプレジデントを務めているデイブ・ムーア氏は、「2021年に発売されたWegovyは、アメリカにおける肥満に対する考え方と治療法を一変させました。そして今、Wegovyの錠剤により他のGLP-1薬(経口肥満治療薬候補)が第III相試験で達成できなかった規模の減量効果を提供できるようになります。Wegovyを錠剤にすることで、これまで治療を求めたり、治療を受けたりしたことのない患者の治療に役立つと確信しています。Wegovyの錠剤は、当社の数十年いわたるGLP-1治療における経験の新しい章であり、肥満治療薬のGLP-1はこれまでで最も手頃な自己負担価格となっています。ノースカロライナ州の施設で製造が順調に進んでおり、2026年1月初旬おアメリカでの本格的な発売に向けて準備を整えています」と語りました。


FDAによるWegovy錠剤の承認は、 OASIS 4第III相試験の結果に基づくものです。この試験では、糖尿病を患わず、肥満または過体重で、体重に関する合併症をひとつ以上抱える成人307人を対象とした64週間にわたる医学調査が行われています。

試験の結果、全患者がWegovy錠剤を1日1回服用するという治療を継続した場合、低カロリー食と運動を併用した人は平均16.6%の体重減少を達成しました。プラセボ服用者の場合、体重減少は平均2.7%でした。全患者で治療を継続したかどうかに関係なく有効性を検証すると、Wegovy錠剤を服用した人の平均体重減少率は13.6%、プラセボ服用者は2.4%です。なお、副作用としては吐き気、下痢、おう吐といったWegovyの2.4mg注射液で見られる副作用と同じものが記録されています。


Wegovy錠剤はアメリカでのみ承認されており、2026年1月初旬発売予定です。

なお、GLP-1薬はアルコールおよび物質使用障害の治療に有効であることが知られていたり、大腸がん患者の死亡率を劇的に低下させたり、片頭痛の発生頻度を半減させたりすることにも効果的であることが明らかになっています。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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