スクウェア・エニックスの社長がNFTやブロックチェーンをベースとしたゲームに大きな期待を寄せていると発言
ドラゴンクエストシリーズやファイナルファンタジーシリーズでおなじみのスクウェア・エニックスの松田洋祐社長が、2022年1月1日に年頭所感を発表しました。この中で、松田社長はNFTやブロックチェーン技術を取り入れたゲームが2022年のトレンドになることに期待していると語っています。
年頭所感 | SQUARE ENIX HOLDINGS
https://www.hd.square-enix.com/jpn/news/2022/html/post_244.html
Square Enix Has Big Plans For NFTs & Metaverse Gaming
https://kotaku.com/square-enix-president-hopes-nfts-blockchain-games-beco-1848294675
デジタルデータを唯一無二の代替不可能な資産として扱うことが可能になる「NFT」や、仮想通貨のベースとなっているテクノロジーの「ブロックチェーン」は、近年のテクノロジー業界における大きなトレンドとなっているだけでなく、ゲーム業界からも注目を集めています。Apex LegendsやFIFAなどの人気ゲームを取り扱う大手パブリッシャーであるElectronic Arts(EA)のアンドリュー・ウィルソンCEOも、2021年11月に行われた同社の決算報告会の中で、NFTやブロックチェーンについて「我々の業界の未来」と語りました。
Apex LegendsやFIFAの販売元が「NFTやブロックチェーンはゲーム業界の未来」と発言 - GIGAZINE
そんなNFTやブロックチェーンについて、スクウェア・エニックスの松田社長が言及しています。松田社長はNFTについて、「ブロックチェーン技術を活用したNFTの登場により、デジタル財の取引に関する流動性が大いに高まった結果、様々なデジタル財が高額で取引され、世界中で話題を呼びました」「当社は、昨年5月に発表した中期事業戦略の中で、新規領域への挑戦としてAI、クラウド、ブロックチェーンゲームを重点投資分野と定め、積極的な研究開発、投資を行ってきました」と語り、2021年からNFTおよびブロックチェーンに注目してきたと明かしています。
続いて、ブロックチェーンを用いたゲームに関する取り組みとして、「今まさに成長期に突入しつつあるブロックチェーンゲームは、トークンエコノミーを前提とすることで、自律的なゲームの成長を可能とするポテンシャルを秘めています。この自律的なゲームの成長を可能とする最大のドライバーは、ゲームをはじめとしたインタラクティブコンテンツに対する人々の向き合い方・動機の多様化であり、トークンエコノミーの進展はこの流れをさらに加速させるでしょう」と指摘。
続けて、「一部懸念の声があることも十分理解しています。他方、コミュニティの中には『Play To Contribute』(ゲームをより面白くするために貢献したい)という動機を持った人も常に一定数いる中、今までのゲームの在り方では、個人の善意やボランタリー精神といった不安定なものが、創作活動の拠り所となっていました。これは、従来からあるUGC(User Generated Content)の限界とも無関係ではありません。UGCは、その提供者個人の表現意欲のみを創作の拠り所しているため、創作活動の対価としての明示的なインセンティブが存在しておらず、これがゲームチェンジャーとなるようなビッグコンテンツがUGCから生み出されにくかった理由の一つではないか、と考えています」と記し、従来のUGCベースのコンテンツからはゲームチェンジャーとなるようなコンテンツを生み出すことができなかったとしています。
そんな従来のUGCよりも優れたコンテンツを生み出すための新しいテクノロジーがNFTおよびブロックチェーンであるとして、「トークンエコノミーの進展により、明示的なインセンティブが提供されることで、不安定性が解消されるだけでなく、自らの創作に対するアップサイドが可視化されることとなり、より多くの人々が創作活動に携わり、没頭することで、一層ゲームが面白く成長する可能性が広がると思います」「『Play To Have Fun』から『Play To Earn』さらには『Play To Contribute』まで、様々な動機をもったユーザーがゲームに関わり相互に関連付けられる、それを可能とするものがブロックチェーン技術に基盤を置くトークンなのです。そしてトークンエコノミーをゲームデザインとして成立させることで、自律的なゲームの成長を実現してゆく、このエコシステムこそが私が分散型ゲームとよぶ所以であり、今後のゲームの在り方の潮流の一つになってゆくものと期待しています。完成品としてのゲームを通じたゲームプレイヤーとゲーム提供者のワンウェイの関係、これを分散型との対比で中央集権型ゲームと呼ぶとするならば、中央集権型ゲームに加え、当社のポートフォリオに分散型ゲームを取り込んでゆくこと、これが今年以降の大きな戦略的テーマです」と記し、ブロックチェーンゲームへの取り組みを本格化していく目論見であるとしました。
なお、松田社長は「将来的な自社トークン発行も見据え、事業展開を本格化させてゆきます」とも述べています。
海外ゲームメディアのKotakuは「スクウェア・エニックスはゲームにブロックチェーンをどのように実装するかや、NFTの活用方法などの詳細なアイデアについては一切言及していないことに注意してください」と記し、スクウェア・エニックスがどのようにブロックチェーンやNFTをゲームに取り込むかは不明であるとしています。
なお、ゲームパブリッシャーのUbisoftは「ゴーストリコン ブレイクポイント」で初めてゲーム内で売買できるNFTを導入したのですが、多くのユーザーやUbisoftの従業員からの反発を受けています。また、「S.T.A.L.K.E.R. 2:Heart of Chernobyl」の開発者もNFTの導入を計画していましたが、ユーザーからの反発を受けて計画を白紙に戻す羽目になりました。これらの事例を挙げ、「スクウェア・エニックスはNFTをゲームに導入して謝罪するゲームパブリッシャーやゲームスタジオのリストに載ることを望んでいる」とKotakuは記しています。
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