サイエンス

一部のグリーンランド人は砂糖を食べると健康になる遺伝的変異を持っているという研究結果


砂糖が入ったお菓子はおいしいものの、食べ過ぎると太ってしまったり病気になってしまったりするといった心配もあります。そんな砂糖に関する研究で、北極圏の島・グリーンランドの人々が、他とは異なる方法で砂糖を吸収する遺伝的変異を持っていることが明らかになりました。

Loss of sucrase-isomaltase function increases acetate levels and improves metabolic health in Greenlandic cohorts - Gastroenterology
https://doi.org/10.1053/j.gastro.2021.12.236

For some Greenlanders, eating sugar is healthy – University of Copenhagen
https://science.ku.dk/english/press/news/2021/for-some-greenlanders-eating-sugar-is-healthy/

コペンハーゲン大学のメット・アンデルセン氏らは、グリーンランドに住む人々のうち、先住民やその混血者を指す「グリーンランダー」と呼ばれる人々を調査。6551人の成人のグリーンランダーの健康データを分析したところ、ある遺伝的変異を持つ人々はBMI、体重、体脂肪率、コレステロール値が低く、比較的健康的な体をしていることが判明します。


アンデルセン氏らがこのデータを元にマウスによる実験を行ったところ、遺伝的変異の保有者は「スクラーゼ-イソマルターゼ欠損」と呼ばれる遺伝的疾患を持っていることが明らかになりました。アンデルセン氏らによると、この疾患を抱えるグリーンランダーは他の人々とは違って血液中の糖分を吸収せず、腸にまで流れ着いた糖分が腸内細菌により短鎖脂肪酸に変換されているとのこと。短鎖脂肪酸は食欲を減らし、代謝を高め、免疫系を高めることが示されており、このことが良好な健康状態につながっているとアンデルセン氏らは述べています。

ただし、この変異は大人にとっては健康上の利点となりますが、子どもにとっては問題があるとのことで、アンデルセン氏らは「若い保因者は砂糖の吸収方法が異なるため、糖分を摂取すると下痢や腹痛、腹部膨満を引き起こします。腸内細菌は糖分を重ねるにつれて糖分の分解方法を学ぶのだと推測されます」と述べました。


グリーンランダーがこのような遺伝的変異を持っている理由として、何百年もの間続けられてきた食事が関わっているとされています。グリーンランドという環境でありつける食事は魚やクジラ、トナカイなどの肉や脂肪のみであり、グリーンランダーが摂取する糖分は最小限に抑えられているとのこと。これにより血液中の糖分を吸収する必要がなくなったため、前述の変異を獲得した可能性があるとアンデルセン氏らは考察しています。

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in サイエンス,   , Posted by log1p_kr

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