AIモデルがクリエイティブな文章を書けないのは初期モデルに見られた創造性や独創性を抑制してビジネス用途に特化させたせいだという指摘

AIの能力は急速に発展しており、すでにさまざまなタスクをこなしたり複雑な計算を完了したりできるようになっていますが、クリエイティブな文章の生成はチャットAIが出始めた頃からほとんど進歩していません。AIのライティング能力がなかなか向上しない理由について、The Atlanticが専門家の意見をまとめています。
The Human Skill That Eludes AI - The Atlantic
https://www.theatlantic.com/technology/2026/03/ai-creative-writing/686418/

OpenAIのサム・アルトマンCEOは、2025年11月のインタビューで「大規模言語モデル(LLM)は間もなく、気候変動の解決、宇宙植民地の建設、そして物理学のあらゆる発見を可能にするだろう」と予測している一方で、「将来誕生するであろうGPT-6やGPT-7でさえ、『本物の詩人が書いたまあまあのクオリティの詩』に相当するものしか生み出せないかもしれない」と発言しています。このように、LLMが発達して高度な計算や科学研究を行うことができるようになっても、まだクリエイティブな文章をうまく書けないと考えられています。
そこでThe Atlanticは、LLMを作成している企業やAIデータベンダー、大学のコンピュータサイエンス学科の専門家、AIライティングのスタートアップ企業で働く人々と話をすることで、LLMのライティング能力が低い理由をヒアリングしました。
専門家らによると、LLMのライティング能力に関する問題の背景には、現在のLLMの設計思想があるそうです。モデルはまずインターネット上の膨大なテキストを学習し、単語の並びを予測する「次トークン予測」によって文章を生成します。この時、事前学習するデータは質より量が重視されるため、必ずしも高品質な文章だけを学習しているわけではなく、質の良くない文章を参考に「次にどの単語が来るか」という予測を習得していることで、文章能力の低下を招いている可能性があります。

さらに重要なのが、その後の「ポストトレーニング(事後学習)」と呼ばれるプロセスです。データセットでトレーニングされた後、AIモデルには理想的な「特性」を定義し、AIが学習するための対話例を与え、不正な要求をブロックしようとする安全フィルターを適用します。加えて、「人間によるフィードバックを伴う強化学習」などのプロセスを通じて、AIの出力を評価基準に基づいて人間が採点することで、モデルは望ましい特性を示す応答へと導かれます。現在のAI開発の方向性は安全性や正確性を重視するため、政治的な偏りや不適切な内容、誤情報を避けるための制約が多くなります。制約が増えるほどAIの出力は無難で均質なものになりやすく、自由な発想は抑制されてしまい、創造性が低い原因となっています。
The Atlanticのインタビューに応えた大手AI研究所で文章評価者として働いていた人物は、AIをクリエイティブにトレーニングする難しさを語りました。彼らによると、「文章のトーン」などの曖昧な印象を明確な基準に落とし込むためには、「感嘆符を最大2つまで使用すること」などのルールを評価基準に含むことが必要だとのこと。しかし、このせいでAIは「全体的にBの方が優れていると感じたのに、Bには感嘆符が3つ含まれていたため、Aの方が優れている」と評価してしまうケースが数多くあったそうです。
しかし、文学的な表現はこうしたルールに収まらず、むしろ規則や定量化に抵抗するところに芸術性が生まれることがあります。優れた文章も同様にしばしば既存の形式を破ったり、曖昧さや個性を含んだりするものであり、評価基準を明確に定義すること自体が困難です。小説家向けのAIアシスタントである「Sudowrite」の共同創設者であるジェームズ・ユー氏は「小説を書くことは、人間ができる最も集中的な認知活動の1つです」と語りました。
根本的な問題として、AIには人間のような経験や感覚がないため、比喩や描写がどこか不自然で「重み」に欠けると指摘されています。ユー氏はLLMの技術的飛躍に感銘を受けているとしつつも、完全にAIが生成した物語は読みたいと思わないと述べ、「ほとんどの人の優れた処女作は自伝的なものです。おそらく、人生を生き、死にそうになるようなモデルが必要なのでしょう」と語っています。
2017年から言語モデルの実験を続けている詩人でコンピューター科学者のケイティ・ゲロ氏は、「クリエイティブな文章を描く能力は、2019年に登場したGPT-2で頂点を迎えました」と語りました。GPT-2はまだ完成度が低く、技術関係者以外にはほとんど知られていなかったモデルですが、その分予想外の回答を生み出すことに優れていたとのこと。一方で現在のAIモデルは博士号レベルの数学力や高度なコーディング能力を備えた上で、若者を保護するためのガードレールなどが求められているため、ここに優れた文章力も求めると「ビジネス向けの正確性重視の文章」と「創造性の高い自由な文章」が衝突して何も出力できなくなってしまう可能性があります。ゲロ氏は「GoogleやOpenAIのような大企業であれば、お金を稼げるチャットボットが欲しいはずです。お金を稼げないチャットボットは、変なチャットボットなのです」とクリエイティブな方向にAIが成長しない理由を語りました。
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