サイエンス

パーキンソン病の原因タンパク質が腸から脳へ移る流れをマウスで再現


パーキンソン病は特定のタンパク質が本来とは違う形になって神経の働きに影響を及ぼすことで発症すると考えられています。ジョンズ・ホプキンス大学医学部を中心とする研究チームの2019年の研究では「パーキンソン病に関するタンパク質の異常が腸で発生して脳まで広がっていく」というメカニズムがマウスでの実験で観察されています。

Transneuronal Propagation of Pathologic α-Synuclein from the Gut to the Brain Models Parkinson’s Disease: Neuron
https://www.cell.com/neuron/fulltext/S0896-6273(19)30488-X

New Animal Study Adds to Evidence of Parkinson’s Disease Origins in the Gut | Johns Hopkins Medicine
https://www.hopkinsmedicine.org/news/newsroom/news-releases/2019/06/new-animal-study-adds-to-evidence-of-parkinsons-disease-origins-in-the-gut

Onderzoek bij muizen toont aan: parkinson kan in darmen ontstaan
https://nos.nl/artikel/2290828-onderzoek-bij-muizen-toont-aan-parkinson-kan-in-darmen-ontstaan


研究チームが扱ったのは、パーキンソン病と関係が深いαシヌクレインというタンパク質です。実験では、腸で起きた変化が脳へ波及していく筋道を時間の流れに沿って確かめるためにαシヌクレインを「異常な形で固まった塊」にしたものを用意し、マウスの胃の出口付近や十二指腸の筋肉の層に入れました。


ここで鍵となるのが脳と胃腸をつなぐ長い神経である迷走神経です。研究チームは、腸から脳へ向かう「通り道」として迷走神経が関わるかどうかを確かめました。ラドバウド大学医療センターの神経内科教授であるバス・ブルーム氏は、脳と腸の結びつきが注目されてきた理由としてパーキンソン病患者に便秘などの「腸の動きが鈍いことを示す症状」が見られることを挙げています。

さらに、パーキンソン病の人の脳で見つかるのと同種の変化が腸でも見つかっているとブルーム氏は述べています。つまり、パーキンソン病が運動症状の目立つ病気に見えても、体の別の場所、特に胃腸の段階から変化が始まっている可能性があるというわけです。

研究チームが「迷走神経が本当に必要な通路か」を確かめるために迷走神経を切ったり、そもそもαシヌクレインを持たないマウスを使ったりした結果、腸から脳への広がりとそれに伴う変化が起きにくくなることが明らかになりました。


さらに、研究チームが脳の様子を追うと変化は最初から脳全体で起きるのではなく、脳の深い部分から始まり時間差で別の場所へ広がることが判明しました。ブルーム氏はこの「じわじわ広がる」様子を浴槽の水が満ちていくようだと表現しています。ひとつの場所にとどまらず、時間がたつほど影響範囲が広がっていくイメージです。


また、研究チームは脳の変化が行動にも表れるか確かめるため、マウスに「巣作り」をさせました。健康なマウスは巣材を集めて密度の高い巣を作りますが、動きの細かい調整がうまくいかないと巣が小さく雑になりやすいとされます。実際に異常タンパク質を入れた群は巣作りの点数が大きく下がり、巣材もあまり使いませんでした。さらに、新しい環境に置いた時の探索行動も調べたところ、異常タンパク質を入れた群は箱の中央へ出て探索する時間が短く、周囲を回り続ける傾向が強く見られたとのこと。

腸から脳へと進む筋道を追うことのできるモデルができたことは、パーキンソン病の対策を考える上での土台になります。ブルーム氏は、パーキンソン病の原因に関わる形に変化したタンパク質に注目することでワクチン開発へ焦点が移る可能性があると述べています。

2018年の研究では、虫垂炎などによって虫垂を切除した人のパーキンソン病発症リスクが切除していない人に比べて19%低いことが判明しています。虫垂は腸の一部であり、虫垂が将来の発症リスクと結びつくかもしれないという点は「病気の入り口が脳だけとは限らない」という見方を補強しています。腸で起きる変化が長い時間をかけて脳の異常につながる可能性があるのであれば、脳だけでなく腸で起きている変化にも注意する必要があります。

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in サイエンス, Posted by log1b_ok

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