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自転車に乗るメカニズムがよくわかる「絶対に乗りこなせない自転車」が誕生、一体どんな自転車なのか?


自転車に乗れる人は大勢いますが、「自転車をどうやって乗りこなしているのか」を口で説明できる人はほとんどいません。サイエンス系YouTubeチャンネルのVeritasiumが開発した「絶対に乗りこなせない自転車」は、自転車に乗る際に用いられている「体の動き」を理解できる特殊な自転車です。

Most People Don't Know How Bikes Work - YouTube


ムービー冒頭では何度も自転車で転ぶ男性の姿が映し出されています。


この男性は、Veritasiumのメインパーソナリティーのデレク・ミュラー氏。今回のムービーは、自転車の仕組みを理解するために作成された「絶対に乗りこなせない自転車」を乗りこなすというものです。


続いて画面右側に登場したのは、絶対に乗りこなせない自転車の開発者であるリック・キャヴァレロ氏。


この絶対に乗りこなせない自転車は、キャヴァレロ氏が操作するコントローラーに従って……


ハンドル中央部に搭載された2つのランプのうちどちらか一方のみが点灯。


点灯した側にのみハンドルを傾けられるという仕組みです。


ここでミュラー氏は「それでは私は本当に曲がることができるでしょうか?」と疑問を提起しました。


単純に考えるならば、ハンドルを切れる向きが一方に制限されていても、その方向にならば曲がれるはず。ところが実際にやってみると、冒頭のシーンのようにミュラー氏はすぐ転んでしまいました。


ムービーの1分37秒から始まるスローモーションを視聴すると、その理由がわかりやすくなります。ここでミュラー氏は右折しようとしていますが、右折の直前にハンドルを左に傾けようとしています。


これはミュラー氏が特殊なのではなく、人は右折の場合にはまず左にハンドルを、左折の場合にはまず右にハンドルを切るという動作を行っています。「絶対に乗りこなせない自転車」はハンドルの動きを左右どちらか一方に制限しているので、曲がろうとしてもその予備動作の段階でバランスを崩して転んでしまう、というわけです。


これは自転車が車と根本的に異なる「曲がる動作」を必要とすることを意味しています。車の場合は左右どちらかにハンドルを切るだけでその方向に曲がれますが……


自転車の場合「バランス」が問題になります。ハンドルを右に傾けた場合、その動きに従って自転車は右に曲がりますが、上に乗っている人間自身はそのままの状態を維持しています。


その結果、全体のバランスはハンドルを切った側と逆に傾くことになり……


バランスを保つために左側にハンドルを切らざるを得なくなります。というわけで、自転車の場合は本当に曲がりたい方向とは逆にハンドルを切って、「全体のバランスを本当に行きたい方向に傾ける」という予備動作が必須になります。


自転車に乗れる人は誰でも曲がる際に必要な一連の動作をマスターしていますが、頭で考えて実行しているわけではありません。体で覚えているだけです。


この「バランスを利用する」という動き方は、一輪車などの場合も共通しています。一輪車で前に進みたい場合、まずはペダルを後ろに動かして体を前に傾けて……


そのバランスを戻そうしながら、前に進みます。一輪車も自転車の場合と同様に、どちらか一方に意図的にバランスを崩してからその方向に進むというメカニズムを利用しているわけです。


「大ざっぱに言うと、ハンドルを切るというのは単に自転車を旋回させるというだけじゃなく、バランスを取るための動作なんですね」「その通り!」


ところで、無人の自転車を手で押し出した場合、どのようにして自立状態を維持するのでしょうか。


ある程度のスピードで自転車を押し出した場合、かなりの不整地であっても転倒せずに進みます。


ジャイロ効果が生み出す力によって自立状態を維持している」と考える人もいるかもしれません。実際に車輪を吊して回転させてみると、ジャイロ効果の力によって、車輪は直立状態を維持しようとします。


しかし、絶対に乗りこなせない自転車の実験でわかったように、ジャイロ効果だけでは自立状態を維持することは不可能です。


誰も乗っていない自転車が自立状態を維持するのは、自転車の「設計」が原因です。自転車は左右どちらかに傾いた場合、その方向に勝手にハンドルが切られ、その反動で車体が反対側に戻るように設計されています。そのため、バランスを崩したとしても、ハンドルとタイヤの動きで勝手にバランスを元に戻してくれるというわけです。


自転車がジャイロ効果がなくても自立できるということを示すために、ジャイロ効果を打ち消すようなホイールを搭載した奇妙な見た目の自転車を作り上げたエンジニアもいます。この自転車は車体を傾けてやると、その方向にハンドルを自動で切って自主的に旋回します。


この研究は低速でも自立状態を維持できる新しい自転車の設計に生かされているそうで……


Veritasiumは「ほとんどの人は自転車に乗れますが、自転車に乗るという行為をどのように行っているかについては全く知られていないので、私たちが実際に行っている行為に対して見識を深めるというのは大事なことだと考えています」とまとめています。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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