Steamに対する「30%の手数料は独占禁止法違反」という訴えが棄却される
by Global Panorama
「Overgrowth」「Receiver 2」などを開発・販売するWolfire GamesがSteamを運営するValveを「不当に高いストア手数料をメーカー側に課している」と訴えた一件について、Wolfire Games側の訴えが全面的に棄却されました。
UNITED STATES DISTRICT COURT WESTERN DISTRICT OF WASHINGTON AT SEATTLE
(PDFファイル)https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.wawd.298754/gov.uscourts.wawd.298754.67.0.pdf
Judge dismisses Steam antitrust case for lack of factual support | Ars Technica
https://arstechnica.com/gaming/2021/11/judge-dismisses-steam-antitrust-case-for-lack-of-factual-support/
今回決着した訴訟は、2021年4月27日にWolfire Gamesと2名の個人がアメリカ・ワシントン州西部地区連邦地方裁判所に対して「PCゲーム市場の約75%にあたるシェアを有するSteamの支配的な地位を利用して、Valveは極端に高いストア手数料をメーカー側に課している」と訴えていた一件です。
Wolfire Gamesによると、Steamとは別の販売手数料の安いストアで同社製品を販売しようとした際、販売手数料の減額分を加味して「Steamより安い価格」を設定しようとしましたが、Valveから「そうするなら、Steamから当該作品を削除する」と通達されたとのこと。その後の問い合わせで、ダウンロード機能などのSteamのサービスを全く利用しない形でWolfire Gamesの公式サイト上で廉価販売を行った場合も同じく削除すると伝えられたため、Wolfire Gamesは今回の訴えに踏み切ったそうです。
今回の裁判は「Steamの30%という割高な手数料を課すために市場独占の状態を悪用しているか否か」「ライブラリやランチャー、ソーシャルメディアなどの各種機能を兼ね備えたSteamプラットフォームの独占状態を利用してSteamストアでの購入を強制しているか否か」が争点になりましたが、審理を担当したワシントン州西部地区連邦地方裁判所のジョン・クーゲナー裁判官は「SteamストアとSteamプラットフォームは単一のプロダクトである」と認定し、Steamはゲーム販売によって得た収益をプラットフォーム側の「無料」サービスに回しているため、30%という手数料は不当にあたらないと裁定しました。
by gamefreaks365
クーゲナー裁判官はWolfire Gamesの「ValveはPCゲーム市場における支配的な地位を利用した」という主張にも異を唱えており、Steamはダウンロード販売という形態が黎明(れいめい)期にあった、すなわちPCゲーム市場において市場占有率が低かった時代から30%という手数料を課してきたと指摘して、「Wolfire GamesはSteamの30%という手数料が超過利潤にあたるという主張を証明できなかった」と述べました。
クーゲナー裁判官は「より低額の販売手数料を課す他のPCゲームストアは、自由に使える巨額のリソースを有した場合でも失敗に終わっています。従って、Steamの販売手数料はゲームパブリッシャーに無料サービスを提供するプラットフォームの価値に見合っていると考えられます」「Wolfire GamesはValveの独占力が開発者側に直接的な損害をもたらしているという主張を立証できず、仮にValveの行動が業界全体の生産量と品質の低下を招いたという主張を受け入れた場合でも、どのような直接的被害を受けたかを示す事実を提示できませんでした」とコメントしました。
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