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AIの普及に伴って「2種類のAIユーザー」が出現しているとの指摘、どうすればAIで生産性を向上できるのか?


近年はAIを搭載したチャットボットやコーディングツールが普及し、さまざまな企業が生産性向上のためにAIの活用を模索しています。そんな中、ソフトウェア開発者でもあるテクノロジー系ライターのマーティン・アルダーソン氏が、「2種類の異なるAIユーザーが出現している」と指摘しました。

Two kinds of AI users are emerging. The gap between them is astonishing. - Martin Alderson
https://martinalderson.com/posts/two-kinds-of-ai-users-are-emerging/


AIツールの活用による生産性の向上についてはさまざまな見解があり、「AIの活用によって生産性が大幅に向上する」と主張する人々もいれば、「企業が無理にAIを導入するせいで生産性が下がっている」という指摘もあります。こうした極端な見解が生じる理由について、アルダーソン氏は「2種類のAIユーザー」がいると指摘しています。

まずアルダーソン氏が挙げているのがAIの「パワーユーザー」で、これらの人々はClaude CodeModel Context Protocol(MCL)といったAI技術の導入に全力で取り組んでいます。意外なことに、パワーユーザーの中にはそれほどITテクノロジーに詳しいわけではない人も多いものの、ターミナルでClaude Codeを使ったり数十もの非ソフトウェア系タスクでAIを活用したりしているそうです。

パワーユーザーが業務へのAI導入を積極的に進める一方で、ChatGPTに質問をするといった程度でしかAIを使わない「ライトユーザー」もいます。ちょっとした質問をする程度の使い方では生産性の向上は難しい上に、チャットAIが提供する回答には誤りや幻覚(ハルシネーション)が含まれていることもあります。


アルダーソン氏は、企業が使っているAIツールやITポリシーなども、AIによる生産性向上が可能かどうかに影響していると主張しています。まずアルダーソン氏は、Office 365サブスクリプションにバンドルされており企業向けシェアの高いMicrosoft Copilotが、そもそもChatGPTインターフェースの粗悪なクローン版といった印象で、AIツールとして貧弱だと批判しています。実際、MicrosoftはCopilotにほぼ無料でアクセスできるにもかかわらず、社内チームにClaude Codeを利用させているとのこと。

それにもかかわらず、多くの企業ではMicrosoft Copilotが唯一使用を許可されているAIツールとなっています。アルダーソン氏は、「Copilotは動作が遅く、コード実行ツールは正常に動作せず、やや大きいファイルではメモリとCPUの非常に厳しい制限が原因と思われるひどい失敗をします。これは多くの企業にとって存続に関わるリスクになりつつあります。経営幹部はこれらのツールを使っているものの成果がよくないためAIを諦めたり、大手コンサルティング会社や経営コンサルティング会社に多額の費用を投じてもほとんど成果が出なかったりします」と述べました。


また、一部の企業ではITポリシーが厳しいため社内システムがほぼロックダウンされており、基本的なインタプリタをローカルで実行することさえ許されていません。他にも、コアワークフローに内部APIがほとんど存在しない古いソフトウェアに縛られていることも多く、たとえAIツールを使えたとしても連携して作業することができないとアルダーソン氏は指摘しています。

中には、社内のエンジニアリング部門がその他の部門と隔離されていたり、完全にアウトソーシングされていたりするケースもあります。この場合、安全にサンドボックス化されたAIエージェントを実行するためのインフラストラクチャー構築が難しく、社内で安全にAIツールを活用することは困難です。

こうした状況下でアルダーソン氏は、AIを活用しやすい環境にいる中小企業の従業員が、大企業の従業員を生産性で上回るケースも生まれているとしています。アルダーソン氏は、「かつて中小企業の従業員は大企業の競合他社が持つリソースやチームをうらやましがる傾向がありましたが、近年はその傾向が逆転しつつあるように思います」と述べました。


アルダーソン氏は、AIと仕事の未来について以下のような展望を描いています。

1:真の飛躍はトップダウンのAI戦略ではなく従業員から有機的にもたらされる
アルダーソン氏は、生産性の真の向上は小規模なチームがAIを活用したワークフローの構築を試みることによって実現すると考えています。これらの従業員は現場のプロセスを熟知しているため、実際のプロセスをよく知らないアウトソーシングされたエンジニアリングチームより優れた成果を上げられるとのこと。

2:システムに何らかのAPIを導入している企業が恩恵を受ける
AIツールはプロンプトによる指示だけでなく、さまざまなAPIと連携することではるかに多様なユースケースに拡張できます。そのため、従業員がユーザーに代わってクエリを実行する読み取り専用のデータウェアハウスといったAPIから、複雑なコアビジネスプロセス全体をAPI化したものを含め、APIを導入している企業が強い恩恵を受けるというわけです。

3:安全対策を備えたAIモデルが必要
社内でAIエージェントを活用するにはすべてを安全なメカニズムで包括するべきであり、少なくとも読み取り専用のレポート作成においては、ネットワーク制限を備えた何らかのコードエージェントを実行するホスト型仮想マシンが機能するとアルダーソン氏は考えています。しかし、データの作成と編集に関しては、非技術系ユーザーがAIモデルを安全に使用できる状況がまだ整っていないとのこと。

4:社内にAPIが導入されているかどうかが重要
ほとんどの企業はAPIファーストの製品を使っておらず、仮にAPIがあったとしても開発者向けに最適化されており、数千人の従業員が自由にアクセスできるようになっていません。そのため、AIを導入して生産性を向上したい場合、内部APIへのアクセス欠如がボトルネックになる可能性があるとアルダーソン氏は指摘しました。

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in AI, Posted by log1h_ik

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