サイエンス

600万年以上前に刻まれた足跡の化石が示す可能性とは?


研究が進み古代の化石がどんどん見つかっても、人類がサルからどのように進化したのかはなかなか解明されません。そんな中、ギリシャで発見された足跡の化石が、人類の進化のカギを握るかもしれないと報告されています。

Age constraints for the Trachilos footprints from Crete | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-021-98618-0


Ancient Tracks May Be The Oldest Hominin Footprints Ever Found, Scientists Say
https://www.sciencealert.com/new-dating-study-argues-these-are-the-oldest-hominin-footprints-ever-found

2017年にギリシャのクレタ島で、50を超える足跡が発見されました。調査の結果、この足跡はおよそ570万年前にヒト科に近い生物が残した可能性があると結論づけられました。


しかし、エバーハルト・カール大学テュービンゲンの研究チームによる調査で、クレタ島で発見された足跡は605万年前のものだとわかりました。

ホモ・サピエンスの化石で最古のものが約30万年前、ネアンデルタール人のものでも最古の化石が約43万年前、1974年に発見されたアウストラロピテクス・アファレンシスの化石「ルーシー」が約300万年前のものといわれており、クレタ島の足跡の主はさらにその上をゆく大先輩となります。

研究チームは、720万年前のものとされている霊長類・Graecopithecus freybergiの臼歯の化石に注目し、クレタ島の足跡とGraecopithecus freybergiに関係があるのではないかと指摘しています。この歯の化石は2017年に発見されたもので、調査の結果、サルではなくヒト亜族であり、Graecopithecus freybergiがチンパンジーとは異なるヒトの祖先であることが判明しており、サルとヒトの間をつなぐミッシングリンクなのではないかと期待されています。

研究チームの1人であるマデレーヌ・ベーム氏は「クレタ島の足跡には、ヒト科に特有と考えられる特徴が含まれています。木にぶら下がっていた人類がフルタイムで直立歩行するようになるには足の形も進化していたはずで、足跡によってどこまで進化が進んでいたのかを分析することが可能です」と述べています。

ベーム氏によれば、前足に指球が存在していること、外反母趾が見られること、第2指から第4指までが徐々に短くなっているところはヒト科にみられる特徴だとのこと。一方で、足が内側にアーチを描いていないこと、足底が短いこと、かかとが球根状でないことなどは霊長類の一般的な特徴であるそうです。


現在は「ヒトの祖先はアフリカからやってきた」という説が主流ですが、今回の足跡の化石がギリシャで発見されたことで、最古のヒト科がユーラシア大陸で進化した可能性を研究チームは示唆しています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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