GoogleとSpaceXが「宇宙データセンター」を協議、AI計算基盤は地球の外へ向かうのか

GoogleとSpaceXが、AI向けの計算処理を地球の外へ持ち出す「宇宙データセンター」の構築に向けて協議しているとThe Wall Street Journalが報じました。協議の対象は、Googleが進める宇宙データセンター構想にSpaceXの打ち上げ能力を活用するという点についてで、記事作成時点では正式な契約発表はなく、関係者の話として報じられています。
SpaceX and Google Are in Talks to Launch Data Centers in Orbit - WSJ
https://www.wsj.com/tech/spacex-google-in-talks-to-explore-data-centers-in-orbit-7b7799e2
Report: Google and SpaceX in talks to put data centers into orbit | TechCrunch
https://techcrunch.com/2026/05/12/report-google-and-spacex-in-talks-to-put-data-centers-into-orbit/
宇宙データセンターとは、AIモデルの学習や推論に必要なサーバーや専用チップを人工衛星に載せ、地球低軌道などで稼働させる構想です。地上のデータセンターでは大量の電力、冷却用の水、建設用地が必要になりますが、宇宙空間では太陽光発電を長時間利用しやすく、地上の土地利用をめぐる反発も避けやすい、というのが推進派の主張です。ただし、人工衛星の製造費、打ち上げ費用、放射線対策、排熱、通信の安定性など、地上とは別の難題が山積みとのこと。
Google側の中心となる計画は「Project Suncatcher」です。Googleは2025年11月、太陽光で動く衛星群にTPUを搭載し、衛星同士を光通信リンクで接続する研究構想を発表しました。TPUはGoogleがAI処理向けに開発している専用チップで、光通信リンクはレーザーなどを使って衛星同士で高速にデータをやりとりする仕組みです。Googleによると、適切な軌道では太陽電池パネルの発電効率が地上の最大8倍になる可能性があり、将来的には宇宙がAI計算基盤を拡張する有力な場所になるかもしれないとのこと。
Googleが人工衛星にAIチップを搭載して宇宙に打ち上げる「Project Suncatcher」を提唱 - GIGAZINE

by NASA Goddard Space Flight Center
GoogleはProject Suncatcherの初期実証として、衛星画像企業のPlanet Labsと協力し、2027年初頭までに2基の試験衛星を打ち上げる計画を示しています。試験衛星では、宇宙空間でGoogleの機械学習モデルやTPUがどのように動作するか、衛星間の光通信リンクを使って分散型のAI処理が可能かを検証する予定です。つまり、すぐに巨大な宇宙データセンターを作るのではなく、まずは「AI計算基盤を宇宙で動かせるのか」を確かめる段階というわけ。
SpaceX側にとって、宇宙データセンターはロケット打ち上げ事業やStarlinkで培った衛星運用能力を、AIインフラ市場へ広げる構想でもあります。TechCrunchによると、SpaceXは投資家に対して、今後数年で宇宙がAI計算基盤を置く最も安い場所になるという見方を示しているとのこと。また、SpaceX傘下のxAIは、AI企業Anthropicにデータセンター「Colossus 1」の計算資源を提供する契約を結んでおり、将来的な軌道上データセンターでの協力可能性も話題になっています。
AnthropicがSpaceXとの提携を発表、Claude Code&APIの利用制限を引き上げ - GIGAZINE

ただし、宇宙データセンターが本当に地上データセンターより安くなるかは、まだ不透明です。Google自身も、打ち上げ価格が2030年代半ばまでに1kgあたり200ドル未満まで下がれば、宇宙データセンターの打ち上げ・運用コストが地上データセンターの電力コストとおおむね比較可能になる、という分析を示しています。裏を返せば、打ち上げ費用が十分に下がらなければ、宇宙データセンターの経済性は成立しにくいという意味でもあります。
技術面でも、Googleは「衛星同士を数百メートルから数km以内の近距離で飛ばし続ける必要がある」と説明しています。AI処理では大量のデータを低遅延でやりとりする必要があり、地上データセンター内のサーバー間通信に近い性能を宇宙で再現するには、衛星の編隊飛行と超高速通信の両方が必要になるためです。さらに、低軌道では電子機器が放射線の影響を受けるため、GoogleはTrillium世代のTPUに陽子線を照射し、宇宙利用に耐えられるかを調べたとしています。
GoogleはSpaceXだけでなく、ほかのロケット打ち上げ企業とも協議していると報じられています。GoogleにとってSpaceXとの協議はProject Suncatcherを進めるための選択肢のひとつであり、SpaceXにとってはAI計算基盤を宇宙へ拡張するための大型案件候補という位置づけです。なお、Googleは2015年にSpaceXへ9億ドル(約1420億円)を投資しており、両社の関係は以前から続いています。
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in ハードウェア, Posted by log1d_ts
You can read the machine translated English article Google and SpaceX are in discussions abo….






