「Yahoo!ファイナンス」が中国のApp Storeから消滅、中国人にとって貴重な海外ニュースの情報源がまた1つ失われる
Google Playストアが使えない中国で、ネットユーザーが検閲を回避できる情報源として使っていた「Yahoo!ファイナンス」のiOS向けアプリが、中国のApp Storeから削除されていたことが分かりました。
Yahoo news app, one of the last sources of Western news in China, is removed from Apple store amid censorship drive – DNyuz
https://dnyuz.com/2021/10/20/yahoo-news-app-one-of-the-last-sources-of-western-news-in-china-is-removed-from-apple-store-amid-censorship-drive/
Yahoo Finance app pulled from Chinese App Store | AppleInsider
https://appleinsider.com/articles/21/10/21/yahoo-finance-app-pulled-from-chinese-app-store
App Storeから削除されたアプリを追跡しているApple Censorshipの調べによると、「Yahoo!ファイナンス」が中国のApp Storeから削除されたのは、2021年10月14日です。削除の経緯は不明で、Appleが削除したのかYahooが取り下げたのかも分かっていないとのこと。Apple関連ニュースを扱うAppleinsiderは、YahooとAppleにこの件について問い合わせましたが、両社とも取材に応じませんでした。
by Ippei Ogiwara
「Yahoo!ファイナンス」は、株価などの金融情報を扱う投資家向けアプリですが、ロイターやBloombergといった経済系ニュースメディアの記事も配信しています。中国のApp Storeから削除される直前にも、「Appleは中国政府の要請に従ってアプリを削除するのと引き換えに優遇措置を受けている」とするBloombergの記事が「Yahoo!ファイナンス」に掲載されていたとのこと。
そのため、「Yahoo!ファイナンス」は中国のインターネットユーザーから「グレート・ファイアウォール」の検閲を回避して海外のニュースを得る情報源として重宝されていました。こうした点が中国当局の怒りを買ったのではないかと、アメリカのニュースサイト・DNyuzは指摘しています。
中国は、かねてからインターネットの規制や検閲を行ってきましたが、2021年10月11月には「共産党資本ではない民間の報道機関による報道をすべて非合法化する法案の制定を進めている」と報じられるなど、近年は特に締め付けが加速しています。こうした規制強化の結果、アメリカ発のSNSとしては中国で最後のSNSだったLinkedInが中国からの撤退を発表するなど、同国のジャーナリズムの退潮が顕在化しつつあります。
LinkedInが中国から撤退しアメリカの主要なSNSが中国から完全消滅 - GIGAZINE
Apple Censorshipのプロジェクトディレクターであるベンジャミン・イスマイル氏は、「最近、Appleは中国当局の要求で多くのアプリを削除しています。政府の命令に従うことと法律に従うことは別ですが、中国では当局が報道機関・ブロガー・活動家などの反対意見を封殺するために法外な手段に訴えることが珍しくありません」と話しました。
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