家庭用冷蔵庫でおいしい氷を作ってみた

夏も本番となりいよいよ氷が恋しい季節です。レジャーに持参する嗜好品としての氷も大切ですし、何より氷は外出時の熱中症対策として欠かせない存在です。家で氷を作る場合は製氷皿や冷蔵庫の製氷機能を利用するのが一般的ですが、水道水のカルキ臭などの影響があり市販の氷ほどおいしくは作れません。そこで、家庭用の冷蔵庫を使ってなるべく費用をかけずにおいしい氷の作成に挑戦します。
◆用意したもの
今回製氷のために用意したものは以下の通りです。
・メガフードコンテナー(200円)
100均で売っていたプラスチック製保存容器の大きなもの、今回使用したものは容量5.5Lです。容器の側壁が垂直ではなく内側に向かってわずかに傾斜しているため、水をかけて表面を溶かすことで氷を容易に取り出せそうです。

・発泡スチロール製保冷ボックス(800円)
ホームセンターで売られていた350ml缶が8本程度収まりそうな小さめのボックスですが、容量を確認したところ5.8Lありました。

・アイスピック(100円)
本当は3本刃のものが欲しかったのですが、100均で売られていた1本刃のものを入手しました。小振りなので正直なところ少々心許ないです。

・アイスジャグ
製氷とは直接関係ありませんが、出来た氷を入れるものの参考として1.9Lのものを用意しました。

◆原理
今回行うのは「純氷」の作り方を大幅に簡略化したものです。水道水には空気やカルキといった不純物が含まれています。純氷を作る場合は原料の水から様々な手段を用いて不純物を除去しますが、一般家庭では現実的ではないので水道水をそのままメガフードコンテナーに注ぎます。

水をメガフードコンテナーごと冷凍室に入れておくと水道水が凍っていくわけですが、製氷皿のような小さな容器で急激に凍らせるのではなく大きな容器で時間をかけてゆっくり冷やしていくと、水分子が凍る際に結晶化することにより不純物は凍っていない箇所に追いやられていきます。全体を完全に凍らせてしまうと不純物を閉じ込めてしまいますが、凍りきる前に取り出し不純物を含んだ水の部分を捨ててやればかなり純粋な氷が得られる、という算段です。

発泡スチロール製保冷ボックスを用意したのは対照実験を行うためです。こちらは蓋を使用しません。

発泡スチロールは冷気を通しにくいため、蓋をせずに冷凍室に置いておくと上から凍っていくことになります。そのため不純物を含んだ水は底面に残ることになるので、メガフードコンテナーを使用する場合と違って氷の部分だけを取り出すのが楽なのではないか、という思惑があります。ただし四方から凍っていくのではないためじっくり凍らせることにより氷の結晶化が起こりやすいというメリットと氷の成長に時間を要するというデメリットがありそうです。

◆準備
よく洗浄したメガフードコンテナーに水道水を注ぎます。

注ぎ終わったら蓋を閉めます。

発泡スチロール製保冷ボックスもよく洗浄した上で水道水を注いでいきます。

注ぎ終わっても保冷ボックスには蓋をしませんが、異物が落ちたり誰かが勢いよく冷凍室を開けたりしても水がこぼれたりしないようラップをかぶせておきます。

2つの容器を冷凍室に置き、24時間放置します。

◆氷の取り出し
24時間経過した状態。少なくとも表面は完全に凍っていそうです。

メガフードコンテナーの様子。中央に楕円球状に凍っていない部分がうっすらと見えます。ただ、その下に白い氷が見えるのが気になります。おそらく結晶化する前に凍ってしまったために空気や不純物が混じっている氷だと思われます。

メガフードコンテナーから氷を取り出すため、水を掛けて表面を溶かします。

取り出しに成功、予想よりも白い部分が多いのが気になります。白い氷は削り取る予定なのでどれだけ残るか気がかりになってきました。

両断。氷の上部は屈折のせいで白く見えていただけのようです。削り取る部分は意外と少ないかもしれません。

白くなっている部分はアイスピックを使って惜しげもなく削ります。すべてはおいしい氷だけを得るためです。

最終的に得られた氷の量は以下の通り。とりあえず用意したアイスジャグを一杯にして余りある量となりました。

かち割った氷。市販のかち割り氷と比べると透明度は若干落ちるかもしれませんが、少なくとも製氷皿で作った氷よりははるかにきれいな見た目です。

◆氷を使ってみる
作った氷をグラスに投入してみたところ。

水を注いでみると透明感がよくわかります。

せっかくなので清涼飲料水を味わってみることにします。自家製の氷でよくある氷が溶けたときに発する変なにおいが全くなく、飲み物の風味をそのまま楽しむことができました。麦茶や緑茶などのより繊細な香りの飲料でも同様に確かめてみましたが誇張なしに「おいしい氷」でした。

◆発泡スチロール製容器
同時に凍らせた発泡スチロール製容器を取り出してみたところ、氷は表面の方にしか出来ていなさそうでした。

凍っていない部分を捨てているところ。ほぼ全部が流れ去っていき悲しいものがあります。

凍った部分を取り出してみましたが本当にごく一部しか氷になっていませんでした。つまり、家庭用冷蔵庫で1日程度で氷を作るなら発泡スチロール製容器を使用するのはお勧めできないということになります。ただ、出来た氷の透明感はメガフードコンテナーで作った氷と比べて段違いで高かったため、時間を掛ければより質の高い氷がたっぷり得られたかもしれません。

◆結果と反省
以上の通り、「家庭用冷蔵庫でなるべく費用をかけずにおいしい氷を作る」という目論見はおおむね成功を収めました。そのうえで幾つか反省点を挙げておきます。
・メガフードコンテナーの下に断熱材を敷く
メガフードコンテナーで作った氷は下部が白く濁っていました。理由としては下からの冷気が強かったために結晶化する前に凍ってしまった可能性が考えられます。メガフードコンテナーを冷凍室に入れる際に発泡樹脂やタオルなど断熱効果のあるものを敷いてやれば、下部の凍結速度をいくらか緩和できたのではないかと思いました。余談ですが、冷凍庫に入れておく時間を30時間に延長してみたところ全凍結してしまったので、結果的に試した環境では24時間が正解でした。
・アイスピックの使い方
100均で売られているアイスピックは大きな氷を割ることを想定していないのか、はたまた習熟度の問題なのか、氷を割るのにかなり難儀しました。あまり無理に力を加えると思わぬケガの元になる危惧があったため、最終的にゴムハンマーを使ってアイスピックの柄を軽くたたく方法で落ち着きました。また、大きな氷をきれいに分割するには直線的かつ等間隔に衝撃を加える必要があり、3本刃のアイスピックを使っていればもう少し楽に割れたかもしれません。
・発泡スチロール製容器を使う場合
手軽に氷を作るという観点から、24時間かけて薄い氷しか作れなかった発泡スチロール製容器は残念ながら「お勧めできない」という結果になりました。ただし、倍の48時間ほどかけてもよいであればきわめて質の高い氷が大量に作れる可能性を感じました。別の問題として、材質的に氷の表面だけ溶かして容器から取り出すのが難しかった点を付け加えておきます。
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