中国メーカーの減産で金属シリコンの価格が300%上昇
金属シリコンは半導体基板を始め、さまざまな素材に使用されています。この金属シリコンが主要な生産国である中国での減産に端を発し、価格が2カ月足らずで300%上昇したと報じられています。
Silicon’s 300% Surge Throws Another Price Shock at the World - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-10-01/silicon-s-300-surge-throws-another-price-shock-at-the-world
砂や粘土など原料となる素材が地球上に豊富にあるにもかかわらず、近年需要の急増と生産量の低下により金属シリコンの価格が急騰しています。金属シリコンの主要な生産国である中国は電力規制により消費電力の削減に努めており、例年に比べてはるかに低い生産量を維持しています。
中国第2位の生産地域である雲南省は、2021年9月~12月にかけて8月の生産水準を90%下回るように命じられており、これにより金属シリコンの価格は1トン当たり最大約1万7000元(約29万円)から6万7300元(約116万円)にまで上昇しているとのこと。
金属シリコン、または原料のシリコンは、半導体やガラス製品、ソーラーパネル、医療用インプラントなどのさまざまな製品に使われており、多くの業界が価格上昇の影響を受けるものと見られています。また、シリコンを使用するアルミニウム合金や、電力規制の影響を受けているマグネシウムも価格の上昇を見せています。
アルミニウム合金メーカーであるRomco Metalsの取引責任者を務めるキース・ワイルディー氏は「シリコンの供給不足により問題が発生しており、いくらかの供給量は確保しているものの、明らかに高い価格で取引している」と述べました。
シリコンの不足はシリコンを使用するメーカーだけでなく、運送業者なども含めたサプライチェーン全体に影響を及ぼしつつあります。金属業界の市場分析を行うShanghai Metals Marketのアナリストを務めるYang Xiaoting氏は、「金属シリコンの価格は2022年の夏まで、高い水準を保ち続けると予想される。電子機器などで需要が高まっていることから、電力規制が解除されても供給不足は続くだろう」と述べました。
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