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「良い宿題」に必要な条件とは?


勉強は日々の積み重ねが大事だとわかっていても、「毎日課される宿題にはウンザリだ」と思っていた人も多いはず。そんな宿題の意義について、オーストラリアのウエスタンシドニー大学教育学部で副学部長を務めるKatina Zammit氏が解説しています。

What's the point of homework?
https://theconversation.com/whats-the-point-of-homework-154056

宿題は世界中で長年続いている習慣で、2012年の調査では、経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査(PISA)」に参加した65の国と地域全てで宿題が出されていたことが確認されています。この調査では、15歳の学生は週あたり平均5時間を宿題に費やしており、中国・上海の生徒に至っては週あたり平均14時間も宿題に費やしているという結果も得られていました。

上海に加えて、週あたり平均7時間を宿題に費やすというシンガポールもPISAで例年ランキング上位に入っていますが、一方で週あたり平均3時間未満というフィンランドもランキング上位の常連です。このことからZammit氏は「宿題は学力を向上につながる要因の1つでしかない可能性があります」と前置きしつつ、改めて「宿題の意義」を解説しています。

オーストラリアの学校は学習指導要領に基づいて州や自治体が定める「宿題の方針」に従っています。しかし、例えばニューサウスウェールズ州では「宿題は教師が特定の明確な学習目的を持って定めるべきである」「宿題は授業で身につけた知識、スキル、理解に基づいて作られるべきである」とされているように、方針自体は定められているものの、宿題の量や頻度に関する指示というのは定められていないことが多いとのこと。教師に対する聞き取り調査の結果によると、宿題を課す際には「親子のコミュニケーションを改善する」「子どもの責任感や自信、規律ある態度を育む」「授業で行った内容の実践や復習」「子どもの理解度の調査」などの理由から宿題を出していることがわかりました。


ここでZammit氏が提起しているのは、「宿題は教師の思い描いた通りの効果を達成しているのか?」という疑問です。一例では2009年のオーストラリア数学教師協会会報に掲載された論文によると、足し算の問題を120回も解かせるような宿題は子どもに解答を考えるのではなく「単に学校で習った公式をあてはめる」ことだけを教えており、子どもに「算数はつまらないものだ」と思わせてしまう可能性があるとのこと。一方、「自分が興味を持ってることに関するプレゼンテーションを練習する」という宿題がクラスの前で話す能力を向上させるという結果が得られているように、子どもの自信と学習に対する自制心を育むような宿題は有用とのこと。

こうしたことから、Zammit氏はさまざまな研究から得た知見から導き出された「良い宿題」について、「クラスの全員に同じ宿題を出すのではなく、各生徒の進度に応じて内容を変えること」「達成可能かつ子どもが自主的にやり遂げられる内容で、時間管理や行動管理のスキルを養えるものであること」「授業内容に沿ったものであること」という3つの条件が重要だと解説。「宿題は子どもの負担になるべきではありません」と述べて、もし自分の子どもが宿題に困っているのなら、教師に相談するべきだと語りました。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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