テスラが「安全審査に合格したドライバー」だけに完全自動運転のベータ版を提供すると発表
テスラのイーロン・マスクCEOが2021年9月25日にTwitterで、完全自動運転を可能にするファームウェアの最新バージョンとなるFSD ベータ10をより多くの顧客に公開すると発表しました。記事作成時点ではまだ公開されていませんが、ベータ版にアクセスできるドライバーはテスラから「安全なドライバーである」と監査される必要があるとのことです。
Safety Score Beta | Tesla
https://www.tesla.com/support/safety-score
Tesla tests drivers to trust them to supervise experimental Autopilot | Ars Technica
https://arstechnica.com/cars/2021/09/tesla-tests-drivers-to-trust-them-to-supervise-experimental-autopilot/
NTSB official says Tesla should address “basic safety issues” before expanding full self-driving - The Verge
https://www.theverge.com/2021/9/19/22682272/ntsb-official-tesla-safety-elon-musk-full-self-driving
FSDのベータ版は2020年10月に「専門家であり、注意深い運転手でもあるごく少数のユーザー」にのみ提供されました。
テスラが完全自動運転のベータ版をリリース - GIGAZINE
また、テスラは2021年7月にFSDを利用できる有料プランを月額199ドル(約2万2000円)で提供すると発表しました。それ以前には、1万ドル(約100万円)の買い切りライセンスも販売していました。
月額2万2000円がテスラのフルセルフドライビング機能を利用するには必要 - GIGAZINE
しかし、アメリカの消費者団体であるConsumers Unionは、テスラの完全自動運転機能を「名ばかりで高額を支払う価値はない」とバッサリ切り捨てる評価を下し、完全自動運転と呼ぶには多くの問題が残されていると指摘しました。
「テスラの完全自動運転は名ばかり」で80万円超の価値ナシとコンシューマー・レポートが評価 - GIGAZINE
実際に2021年7月にテスラが配信したFSD ベータ9は駐車車両や支柱に何度も車で突っ込んでしまいそうになったと報告されており、依然として安全性に疑問が持たれていました。
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by Chris Yarzab
これを受けて国家運輸安全委員会のジェニファー・オーメンディ委員長は、「テスラは完全自動運転に切り込む前に基本的な安全性の問題に取り組むべき」と述べ、テスラの使う「完全自動運転」という言葉は誤解を招く恐れがあり無責任だと批判しました。
そんな中、マスクCEOは2021年9月25日に「FSDベータ版をリクエストするページは今夜公開されますが、FSD ベータ10.1については24時間のテストが必要なので、明日の夜に公開されるでしょう」とTwitterで発表。しかし、記事作成時点ではまだリクエストページは公開されていません。
FSD Beta request button goes live tonight, but FSD 10.1 needs another 24 hours of testing, so out tomorrow night
— Elon Musk (@elonmusk) September 25, 2021
また、安全性への懸念に対する回答として、テスラはFSDベータ版を提供する前に、「ユーザーの運転が将来の衝突につながる可能性」を5つのチェックポイントから推定して安全スコアを算出し、合格したユーザーにのみFSDのベータ版のアクセスを許可するという方針を打ち出しました。
テスラの打ち出した5つのチェックポイントが以下で、これを基に100点満点で安全スコアを算出するとのこと。テスラは「ほとんどのドライバーは安全スコアが80以上です」と述べています。
1:1000マイル(約1600km)当たりの前方衝突警告数
2:0.3Gを超える後方加速度を経験するような急ブレーキ率
3:0.4Gを超える左右加速度を経験するような無理のあるハンドリング率
4:車間距離に応じて前方の車両が突然停止した時に停止するまでにかかる時間
5:ハンドルから手を離したために注意を怠ったと判断され、強制的にオートパイロットに切り替わったかどうか
なお、FSDベータ版と安全スコアについて、海外ITメディアのThe Vergeはメールを送信しましたが、テスラはプレスオフィスを解散しているので返信はないだろうと述べています。
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