メモ

中国工作員がさまざまなSNS上で英語や日本語を使ってデモを呼びかけている可能性


サイバーセキュリティ企業FireEye傘下のセキュリティ脅威研究企業であるMandiantが、「中国の工作員が何十ものソーシャルメディアプラットフォームで、複数の言語でウソの情報を発信していた」という報告書を発表しました。問題となったネットワークは大量のSNSアカウントから、新型コロナウイルスの混乱に乗じてフェイクニュースやデモを扇動するようなコメントを同時に投稿していました。

Pro-PRC Influence Campaign Expands to Dozens of Social Media Platforms, Websites, and Forums in at Least Seven Languages, Attempted to Physically Mobilize Protesters in the U.S. | FireEye Inc
https://www.fireeye.com/blog/threat-research/2021/09/pro-prc-influence-campaign-social-media-websites-forums.html

Pro-China Online Network Used Fake Accounts to Urge Asian-Americans to Attend Protests, Researchers Say - WSJ
https://www.wsj.com/articles/pro-china-online-network-used-fake-accounts-to-urge-asian-americans-to-attend-protests-researchers-say-11631109601


Pro-Beijing operatives used social media to try promoting NYC protest
https://www.cyberscoop.com/china-social-media-nyc-protest-mandiant/

TwitterやFacebook、YouTube上で中国を過剰に擁護するアカウントが登場し、香港の民主化運動を非難していたことが2019年の調査で判明していました。

中国政府は香港デモについてSNS上で情報操作しているとTwitterやFacebookが公表 - GIGAZINE


今回の調査で判明した中国擁護のアカウントは、プロフィール写真に「人工的に作られた写真」を使っており、新型コロナウイルス感染症に関連する話題や、中国の反体制派である郭文貴氏一派を批判するコメント、アメリカの国内政治に関する批判などを積極的に発進していたことが判明。

例えば、郭氏や元ホワイトハウス首席戦略官のスティーブ・バノン氏、香港大学公衆衛生学部の研究社であるLi-Meng Yan(閆麗夢)氏が唱えた「新型コロナウイルスは中国の研究所で作られた」という主張に対して、親中国派のアカウントが同一のテキストや画像、動画を使って何千回も投稿を行っていたとのこと。また、使われていた動画には中国語や英語の自動音声が使われているなど、その内容にもこれまでの親中国ネットワークでみられた特徴が見られました。


こうした親中国派のアカウントはFacebook・Twitter・YouTubeなどの30種類のソーシャルメディアと40種類以上のウェブサイトやフォーラムで、膨大な数のアカウントがロシア語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・日本語などの少なくとも7つの言語で活動していたことがわかりました。

日記型SNSのLiveJournalに投稿されたロシア語の記事では、アメリカ・メリーランド州にあるフォート・デトリックこそが新型コロナウイルスの発生源であり、中国ではないと主張している記事が見つかりました。このアカウントは新型コロナウイルスの存在が判明した2019年12月の時点で作成されており、当初から中国以外で新型コロナウイルスへの感染が疑われる人のSNS投稿をロシア語に翻訳して投稿していたことが判明。同時に「中国よりもアメリカやヨーロッパで新型コロナウイルスが出現した」という記事を共有していたそうです。


また、同様の投稿がドイツ語やスペイン語でも見つかっていますが、いずれも文法的な誤りが複数見つかっており、この言語を母国語としていない者が作成した可能性が高いとMandiantは指摘しています。


以下はTwitterで特定のアカウントが、同じ内容とイラストを使ったツイートを日本語・韓国語・英語で投稿していたもの。日本語のツイートを見ると明らかに文法的に不自然であることがわかります。


以下の画像は、「郭文貴氏の支持者がアジア系アメリカ人や他のマイノリティグループを暴行した」と主張してニューヨークで行うデモへの参加を呼びかける記事で、記事中に使われている写真で女性が持っている看板には、閆氏の顔に大きなバツがつけられています。


しかし、この写真は本来以下画像の右で、看板部分に書かれていたのは「人種差別に立ち向かおう」というYWCAからのメッセージでした。つまり、共有された記事の写真は完全にコラージュであり、捏造(ねつぞう)されたものだったというわけです。そして、この投稿によって少なくとも1人のアメリカ人が本当にデモに参加する意思を表明していたとのこと。


Mandiantは「親中国派による活動は、Facebook・Twitter・YouTubeだけでなく、少なくとも30のソーシャルメディアと数十のウェブサイトやフォーラムで行われており、言語も英語と中国語だけでなく、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、韓国語、日本語と多岐にわたっています。このことから、一連のキャンペーンの関係者はオンラインでの活動範囲を大幅に広げ、できるだけ多くのプラットフォームで存在感を示し、世界中のさまざまな人々に届けようとしていると考えられます」と主張。さらに、一連の親中国派ネットワークにはアメリカでデモを扇動している者も現われていると警告。親中国派ネットワークが直接的な影響力の手段を模索し始めており、中国国外で現実の活動を起こそうとしている可能性を示唆しました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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