AIがSNSや掲示板で当たり前のように会話して「死んだインターネット理論」が現実になってしまったという嘆き

死んだインターネット理論とは、「インターネットに占める人間の有機的な活動が減少し、ボットやアルゴリズムによる自動生成コンテンツに取って代わられている」とする理論です。プログラマーのドミトリー・クドリャフツェフ氏が、「ソーシャルニュースサイトのHacker NewsでAIが当たり前のようにチャットしており、自分たちが死んだインターネット理論に到達したと気付いた」と報告しています。
Dead Internet Theory - Dmitry Kudryavtsev
https://kudmitry.com/articles/dead-internet-theory/

クドリャフツェフ氏は基本的にSNSを利用していませんが、技術愛好家や起業家、インターネットの荒らしなどが集うHacker Newsはよく読んでいるとのこと。Hacker Newsは最近の技術系ニュースを把握するのに役立ち、政治に関する話題はほとんどなく、個々人のアカウント同士がつながるソーシャルメディア的な側面はありません。
ある日クドリャフツェフ氏がHacker Newsを閲覧していると、あるオープンソースプロジェクトを共有している人物を見つけました。クドリャフツェフ氏は、「人々がプロジェクトに取り組み、それを世界に公開することを決意するのは素晴らしいことです。実際に商品を送り出し、それを世界と共有することに対する恐怖を、人々は過小評価しているように思います」と述べています。
ところがスレッドをのぞいてみたところ、多くのユーザーがプロジェクトの多くがAIによって生成されたものであると指摘し、プロジェクトそのものの妥当性に疑問を呈していました。ユーザーからの非難の中には、「コミットのタイムラインが意味をなしていない」「コーディングAIが生成したコメントがある」といったものがあったそうです。
なお、クドリャフツェフ氏自身はAIでコードが書かれていても気にしないものの、特にオープンソースソフトウェアではAIの使用を開示することが公平だろうという考えです。AIの基盤である大規模言語モデルは確率的なトークン生成器に過ぎないため、ほとんどの単純なタスクでは非常に優秀なものの、一部の複雑なタスクでは問題を引き起こす可能性があるとクドリャフツェフ氏は指摘しています。

プロジェクトの開発者はこうした指摘に対し、「100%AIを使わずに書いたものである」と主張し、すべてのコメントに返信しようと試みていました。そのやり取りを見ているうちに、クドリャフツェフ氏は開発者のコメント自体もAIで生成された可能性が高いことに気付きました。
たとえば、開発者が文章を区切る際に多用した「emダッシュ(—)」は特別なキーの組み合わせが必要であり、そもそも使わない人が多いとのこと。また、Hacker Newsではemダッシュが「--」のように真ん中が空いて表示されてしまうにもかかわらず、開発者は気にせず使っていたそうです。
それに加えて、少なくともクドリャフツェフ氏がまったく見かけたことのない「you are absolutely right(あなたは絶対に正しい)」という言葉を繰り返し使っていた点や、「let me know if you want to [do that thing] or [explore this other thing](あることをするか別のことを探索するか、どちらが良いのか教えてください)」というAIらしい文末を繰り返していた点なども、コメントがAIで生成された根拠に挙げています。
クドリャフツェフ氏は、「私はそこに座ってページを更新し、著者がAIをまったく使用していないと主張しているにもかかわらず、コードとコメントの両方でAIが使用されていると指摘されているのを見ていました。正直、気が狂ってしまうんじゃないかと思いました」「この人は本当に実在の人物なのだろうか?コメントしている人たちは本物なのか?そして私は気付きました。私たちは『死んだインターネット』に到達したのです」と述べています。

死んだインターネット理論において、インターネット上のほとんどのやり取りはボット間で行われ、ほとんどのコンテンツは商品を販売するために機械的に生成されたものだとされています。クドリャフツェフ氏が若かった2000年代初頭、インターネット上にボットはほとんど存在しておらず、フォーラムやそこに集う匿名の人々からさまざまな物事を学ぶことができました。しかし、今では何が現実なのかわからなくなってしまったとクドリャフツェフ氏は嘆いています。
クドリャフツェフ氏はSNSを利用していませんが、ビジネス系SNSのLinkedInで実在するテクノロジー企業が「AIで生成したオフィスや従業員の写真」を投稿している様子を見たことがあるそうです。実際に、FacebookやYouTubeでは粗雑なAI生成動画(AIスロップ)が氾濫していることが報じられています。
「AI生成の雑な動画のみで630億回再生」「2億2100万人以上の登録者数」などYouTubeが低品質なAI生成動画に浸食されつつあるという調査結果 - GIGAZINE

クドリャフツェフ氏は、「その日は正直悲しくなりました。絶望的だとしか言えません。AIは一般大衆が簡単に入手可能で、大量のAIスロップを生成することができます。人々はもはやコメントやコードを書く必要はなく、それをAIエージェントに入力するだけで次の『あなたは絶対に正しい』傑作が生成されます」「今、私が目にしている光景は、向かっている未来においてテクノロジーが有用なのかどうか疑わせるものです」と述べました。
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in AI, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article The lament that the 'dead internet theor….







