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扇風機にフィルターを貼り付けるだけの「たった30秒で自作できる空気清浄機」が市販品を上回る効果を発揮


空気清浄機は空気中の花粉や煤(すす)といったさまざまな粒子状物質を除去してくれますが、市販の空気清浄機は高いものだと数万円もします。そこで、「扇風機にフィルターを雑に貼り付けただけの空気清浄機」を作った人物が、実際にどれほどの効果を発揮するのかを実験した結果を公開しています。

Experiments on a $50 DIY air purifier you can make in 30s
https://dynomight.net/2020/12/15/some-real-data-on-a-DIY-box-fan-air-purifier/

汚染された空気は健康に悪いものですが、誰もが高価な空気清浄機を買えるわけではありません。「なぜファンとフィルターが入っただけの大きな箱に100~300ドル(1万1000円~3万3000円)も支払わなくてはいけないのか?」と考えた筆者のdynomight(@dynomight7)氏は、安い扇風機とフィルターでDIY空気清浄機を作ることにしました。

実際にdynomight氏が作ったDIY空気清浄機がこれ。箱形の四角い扇風機(19ドル/約2100円)の呼気側に、縦32cm×横22cm×厚さ5cmのHEPAフィルター(2枚で35ドル/約3900円)をヒモで取りつけただけの作りで、組み立てにかかった時間はわずか30秒だとのこと。フィルターの寸法が箱形扇風機の寸法に合っておらず、ヒモを巻いた部分にしわも寄っている手作り感満載の空気清浄機となっています。


dynomight氏は比較対象として100ドル(約1万1000円)の空気清浄機を購入し、「フィルターなしの扇風機を使った状態」「市販の空気清浄機を使った状態」「DIY空気清浄機を使った状態」で、どれほど空気の浄化能力に差が出るのかを調べました。なお、市販の空気清浄機は縦25cm×横12cm×厚さ4cmのHEPAフィルターを使用しており、交換品の価格は25ドル(約2800円)だったそうです。

浄化能力に関する実験を行うため、dynomight氏はクレジットカードほどの長さにカットしたお香をたき、室内で煙を発生させることにしました。そして、友人から借りた100ドルの大気モニターを使い、1立方メートル当たりに含まれる微小粒子状物質(PM2.5)を測定したとのこと。アメリカ合衆国環境保護庁によると、1立方メートル当たりのPM2.5は年間平均12マイクログラム以下、1日平均35マイクログラム以下が望ましいそうで、一般的な先進国では15マイクログラム以下の範囲に収まっているそうです。しかし、室内で料理などをすると一気にPM2.5の量が増えることがあり、時には数百マイクログラムに達することもあるとdynomight氏は述べています。

dynomight氏の実験環境は以下の通り。容積が8立方メートルの小さな部屋に大気モニターとストップウォッチを置き、その様子をタブレットで撮影しながらお香を燃やし、空気清浄機を稼働させるというもの。なお、空気清浄機の風が煙の量に影響することを避けるため、空気清浄機とお香の間に壁を挟んで風が当たらないようにしたそうです。


「フィルターなしの扇風機を使った状態」「市販の空気清浄機を使った状態」「DIY空気清浄機を使った状態」で実験を行い、結果をグラフにしたものがこれ。縦軸がPM2.5の量(マイクログラム/1立方メートル)、横軸が時間(分)を表しており、「フィルターなしの扇風機を使った状態」が青い点線、「市販の空気清浄機を使った状態」が緑色の線、「DIY空気清浄機を使った状態」がオレンジ色の線で示されています。DIY空気清浄機は市販の空気清浄機よりも速く、空気中のPM2.5を取り除いているとの結果になりました。


対数グラフで浄化能力を示したものがこれ。空気中のPM2.5濃度がアメリカ合衆国環境保護庁の推奨する「12マイクログラム/1立方メートル」を下回るのは、DIY空気清浄機で実験開始から約15分後、市販の空気清浄機で約25分後となっています。


また、dynomight氏は約100立方メートルの部屋でも同様の実験を行いました。今度は比較的広い空間のため、お香と空気清浄機の間に壁を設置することはせず、モニター、空気清浄機、お香をそれぞれ1メートルずつ離したとのこと。


実験の結果が以下の通り。先ほどよりも差が小さいものの、やはり市販の空気清浄機よりDIY空気清浄機の方が速く空気をきれいにしているとの結果になりました。


対数グラフはこんな感じ。


また、「フィルターの漏れをふさぐことでDIY空気清浄機の性能を上げられるのではないか」と考えたdinomight氏は、以下のように「扇風機とフィルターの間をテープでふさいたDIY空気清浄機」も作ってみたそうです。ところが、性能は通常のDIY空気清浄機と同程度だったとのこと。


一連の実験からは、DIY空気清浄機が優れた性能を持っていることが示唆されました。また、DIY空気清浄機では使用するフィルターの面積が広いため、フィルターの交換頻度も市販の空気清浄機より少なくてよいと思われるとのこと。

その一方で、市販の空気清浄機の消費電力は30~45W程度ですが、一般的な箱形扇風機は消費電力は55Wとなっており、消費電力の面では市販の空気清浄機が優れているとdynomight氏は指摘。また、多くの空気清浄機には周囲の空気が汚くなった時だけ稼働する機能が搭載されているため、さらにDIY空気清浄機より消費電力は少なくなるだろうと述べました。

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in メモ,   ハードウェア, Posted by log1h_ik

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