乗り物

軍用自律型垂直離着陸機「Thunder(サンダー)」発表、ドローン兵器にも対応可能


VRデバイス「Oculus Rift」の開発で知られるパルマー・ラッキー氏らが設立したアメリカの防衛関連企業「Anduril」と、電動垂直離着陸機(eVTOL)を手がけるアメリカのスタートアップ「Archer Aviation」が共同して、防衛用途と商業用途の両方に対応するためのシリーズ式ハイブリッドeVTOLプラットフォーム「Thunder」を発表しました。

archer.com/news/anduril-and-archer-unveil-jointly-developed-autonomous-vtol-platform-for-commercial-and-defense-applications
https://archer.com/news/anduril-and-archer-unveil-jointly-developed-autonomous-vtol-platform-for-commercial-and-defense-applications

Introducing Thunder: Autonomous Attack Rotorcraft for the Near-Surface Fight
https://x.com/anduriltech/article/2079169933527933006


AndurilとArcher Aviationは2026年7月20日に、Thunderの外観および詳細を発表しました。


Andurilによると、ドローンの普及によって地上で行われる機動戦では人的・機械的な損失が甚大なものとなり、地表付近が戦場で最も危険な場所の1つと化しているとのこと。速度、機動性、航続距離、十分な戦力を投入できる能力といった特性がすべて高い水準で求められる戦場に対する回答として発表されたのがThunderです。以下はThunderがどのように用いられるのかを示したアニメーションです。


Thunderは、AndurilとArcher Aviationが開発したデュアルユースプラットフォームをベースに、商用VTOL分野で急速に進む電気推進技術やローター設計の進歩を、新設計の機体に取り入れています。「シリーズ式ハイブリッド電動パワートレイン」の採用により、Thunderは優れた航続距離と長時間の滞空性能を実現すると同時に、飛行状況全体を通じて出力をきめ細かく最適化できる高い制御性も確保しています。さらに、Thunderに搭載されている「デュアル・ティルトローター」は飛行フェーズに応じてローター回転数を変化させることで、あらゆる飛行領域で高い効率を維持し、巡航時の必要出力と燃料消費を削減するとともに、低高度で目標地域へ進入する際の騒音を低減し、生存性の向上にも寄与するとのこと。


また、Thunderのティルトローター構成は、VTOL能力と固定翼による効率的な巡航飛行を両立しています。そのため、ヘリコプターなどの従来の回転翼機が抱える航続距離の制約を受けることなく、滑走路を必要としない運用が可能で、十分な設備が整っていない前線基地や簡易離着陸地点からでも運用できるそうです。

宇宙と科学に関する動画をYouTubeに投稿するスコット・マンリー氏は、Thunderの「ハイブリッド電動」の真の利点は「ギアボックスなしにローターに電力を分配する能力」にあると分析しています。従来のヘリコプターでは、エンジンの動力を複数のローターへ伝えるために大型で複雑なギアボックスやドライブシャフトが必要ですが、これらは重量があり整備も難しく、故障しやすい部分でもあります。電動航空機では電力をケーブルでモーターへ送るだけで済むため、大幅に簡素化できる一方で、バッテリーだけではエネルギー密度が低く長距離飛行が困難です。そこで、発電機を搭載して飛行中に電力を供給する「シリーズ式ハイブリッド電動」により、電動化のメリットを維持したまま航続距離を大きく延ばせるという考え方です。


Thunderの主な任務には、長距離大量効果兵器の投下、火力支援、情報収集・監視・偵察、海上哨戒(しょうかい)、対潜水艦戦、捜索救助、危険地域への補給輸送などが含まれます。

また、Thunderは防衛用途だけではなく、エアタクシーなどのさまざまな商業用途にも提供できるよう構成されています。以下の投稿における黒い塗装のThunderが国防用、白い塗装のものが商用とされています。


Andurilの機動優位性担当上級副社長であるシェーン・アーノット氏は「性能から量産性まで、防衛分野において商用eVTOL市場の最先端技術を活用することは、Thunderが顧客に運用上の価値を提供する上で極めて重要です。Archerと共同開発したこの全く新しいデュアルユースプラットフォームは、まさに能力面での飛躍的な進歩と言えるでしょう」と述べています。

Archer Aviationの創業者兼CEOであるアダム・ゴールドスタイン氏は「このミッションでは、現代の商業および防衛用途のニーズを満たすために、既存の航空機を単に改良するだけでは済まず、ゼロから設計し直す必要がありました。そこでAndurilと協力し、基本原理から見直すアプローチを採用し、これまでで最も洗練された垂直離着陸機を開発しました」と語りました。ゴールドスタイン氏によると、2024年にAndurilのラッキー氏が攻撃・偵察ヘリコプターに随伴する多用途の自律型航空機のコンセプトを提案し、それ以来Thunderを一緒に設計してきたそうです。


また、ゴールドスタイン氏は2026年7月20日にイギリスで開催されたファーンボロー国際航空ショーに登場し、CNBCの取材に対し「2028年のロサンゼルスオリンピックまでにエアタクシーの認証を取得し、運航を開始することに全力を注いでいる」とコメントしました。2028年の運行開始はあくまで野心的な目標としつつも、それに向けて全力を尽くすと語っています。

開発チームは既にThunderの性能の中核となるシステムを実証するため、実物大の実証機を用いた複数回の飛行試験を実施済みです。Thunderの初飛行は2027年に予定されています。Thunderの最初の商業顧客は2026年7月後半に発表予定です。

・関連記事
ジェット機並みの巡航性能を備えつつも滑走路に依存しない垂直離着陸能力を実現するDARPAの実験機「X-76」 - GIGAZINE

約8.6km離れた場所にレーザービームで電力を届ける実験にアメリカ軍が成功、無線電力でポップコーンを作成 - GIGAZINE

アメリカ軍がAI自律戦闘機「X-62A」と人間が操縦する「F-16」の戦闘テストに成功 - GIGAZINE

アイアンマンや鉄腕アトムっぽく空を飛ぶ人型災害対応ロボット「iRonCub3」 - GIGAZINE

水素燃料で飛ぶ電動航空機が842kmの飛行に成功、東京~大阪を余裕で往復できる距離 - GIGAZINE

空飛ぶ車のプロトタイプが連邦航空局から耐空証明書を取得 - GIGAZINE

in 乗り物, Posted by log1e_dh

You can read the machine translated English article Military-grade autonomous vertical take-….