ハードウェア

NVIDIAが課したGeForce RTX 5090の性能制限を突破する改造方法とは?


オーバークロック関連サイト・Xtreme SystemsのPickleRick氏が「GPUのオーバークロックはかつてのように自由な調整がしづらい時代に入っている」と述べ、NVIDIAのフラッグシップGPUであるGeForce RTX 5090でメーカーの制約を超えたオーバークロックを可能にする改造手法を検証しています。

External clock generation on RTX 50 series
https://www.xtremesystems.us/post/external-clock-generation-on-rtx-50-series

PickleRick氏が取り組んだのは、外部から任意の基準クロックをGPUへ供給するElmor External Clock Board(Elmor ECB)をGPUに接続し、GPU基板上の発振子が作る基準信号を使わず、Elmor ECBから別の基準信号を送り込んでGPU全体の動作クロックを引き上げる方法です。Elmor ECBを使うのには、ソフトウェアやvBIOSでは触れにくい領域に踏み込んでRTX 50シリーズの潜在性能を引き出す狙いがあるとのこと。


PickleRick氏によればElmor ECBを使うというアイデアはまったく新しいものではなく、1970年代後半から1990年代初頭には水晶発振子交換によるオーバークロックが行われていたそうです。当時はソフトウェアやジャンパでクロックを変える手段が限られていたため、基準クロックそのものを変えてチップを高速化していたとのこと。

その後、マザーボードではジャンパやソフトウェアによる調整が広がり、GPUでもクロックや電圧を比較的自由に操作できるようになりました。しかしGTX 10シリーズ以降にvBIOS編集が難しくなり、近年はユーザーが調整できる余地が狭まってきたとPickleRick氏は振り返っています。


ハイエンドのRTX 50シリーズでもVRAMのクロック周波数を限界まで追い込むことが難しくなっており、さらにGPU内部の接続速度に関わるクロスバークロックもvBIOSの差し替えで一部を動かせる程度にとどまるとのこと。RTX 5090ではGPU内部のデータの通り道にあたるクロスバーの動作周波数が個体差を見極める目安になるそうで、PickleRick氏は2600MHz前後にとどまるものを伸びにくい個体、2700MHz前後まで上がり、さらにGPUコアも高いクロックで動くものを優秀な個体と見ています。そこで、PickleRick氏は「メモリとクロスバーの両方を外部クロックで引き上げれば、通常の調整では見えない性能を引き出せるのではないか」と考えました。

検証はRFエンジニアリングの知識を持つTurbogear氏の協力を得て、数週間にわたって進められました。初期のベンチマークでは低価格帯の水冷ユニットを使った状態でも、複数の液体窒素冷却スコアを上回る結果が出ていると報告されています。


一方で、この改造は安定して誰でも使える段階にはありません。配線の取り回しが悪いと、GPUの近くで人が立ち上がったり素早く動いたりするだけでクラッシュすることがあり、起動しない場合もあります。最大の課題は、GPU側が想定する入力信号とElmor ECBが出す信号が異なること。RTX 50シリーズGPU内の位相同期回路(PLL)は約1.15VPP(ピーク・ツー・ピーク電圧)のAC結合された正弦波を想定している一方、Elmor ECBの基準クロック信号は1.6VPPのAC結合された方形波です。

そこでPickleRick氏は、電圧分割回路やRF減衰器、ローパスフィルターなどを組み合わせて、信号を安全かつ安定した形に近づけようとしました。最も良好だったのは、20Ωの直列抵抗・1800mV出力・最小ドライブ強度を使う構成で、回路内のVPPは1.2V程度に収まったとのこと。この構成でテストされたカードはMSI Afterburnerのメモリスライダー換算で+5467相当、クロスバークロックで約2920MHzに到達しました。また、Port Royalではクロスバーの引き上げでスコアが約500点、通常の限界を超えたメモリ設定でさらに約200点伸び、冷却液温を7℃下げてクロックを高めることで過去最高スコアを1500点上回りました。


ただし、外部クロックを使うと、NVIDIAが表示するクロック値は実際の周波数とずれます。表示値は27MHzの基準クロックを前提に計算されるため、PickleRick氏は実クロックを別途計算する必要があると説明しています。


この改造はメモリやクロスバーだけでなく、HDMIやPCIe、GPUコア、PWMファン速度などにも影響します。PickleRick氏は「性質としてはマザーボードのBCLKオーバークロックに近く、範囲外信号を受け付けられるHDMIモニターや、環境によってはCSMモードまたは内蔵グラフィックスの有効化が必要になる」としています。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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