家の付近の街並みに「建物や樹木に囲まれている感じ」があると睡眠時間が長くなる可能性

十分な睡眠時間を確保することは心身の健康にとって非常に重要であり、近年では寝室の換気や自宅周辺の環境といった要因が、睡眠に影響を及ぼしていることもわかっています。新たに、大阪公立大学大学院の生活科学研究科に所属する松下大輔教授らの研究チームが、自宅周辺地域の「囲まれ感」が睡眠に影響しているとの研究結果を発表しました。
Urban eye-level landscapes and sleep health: Cross-sectional evidence from a megacity using machine learning for objective and perceptual assessment - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0360132326005160
街並みの「囲まれ感」が睡眠を守る ~AI画像認識で自宅周辺環境と睡眠の関係を調査~|大阪公立大学
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-24567.html
Enclosed neighborhood streets are linked to better sleep, study finds
https://www.psypost.org/enclosed-neighborhood-streets-are-linked-to-better-sleep-study-finds/
睡眠時間の不足や睡眠障害は重大な公衆衛生上の問題であり、心血管疾患から代謝性疾患、さらにうつ病や認知症などとの関連も指摘されています。睡眠は仕事などのスケジュールや生活習慣、遺伝子などの生物学的要因に加えて、生活環境も影響していることがわかっています。
研究チームは自宅周辺の景観や印象が睡眠に与える影響について調べるため、AI画像認識技術を用いた分析を行いました。被験者となったのは東京都心に通勤する40~59歳の労働者1089人で、いずれも建物の3階より下に住んでいました。
まずは、被験者の自宅がある郵便番号区域に関連付けられたストリートビューの画像21万4000枚を収集しました。これをAIに読み込ませ、画像内のピクセルを分類して特定の物体を検出するセマンティックセグメンテーションという技術を使って、建物・道路・フェンス・空・街路樹といった要素を自動的に分類したとのこと。
続いてこのデータを基に、建物や樹木など垂直方向の要素が視界に占める割合を示す「囲まれ感」、街路樹などの緑が視界に占める割合を示す「緑視率」、歩道や防護柵といった歩行者向け設備の充実度を示す「視覚的な歩きやすさ」という指標を数値化しました。

さらに、世界56都市で約9万人が評価した街並みの印象評価データ(Place Pulse 2.0)を機械学習モデルに学習させ、日本の街並みの画像からも「安全感」「活力感」「裕福感」などの主観的な印象を評価できるようにしました。

被験者は過去1カ月間の就寝時間および起床時間を報告したほか、日中の眠気や不眠症の症状に関するアンケートに回答しました。研究チームはこの結果を基に睡眠時間や睡眠の問題を特定し、ストリートビューの画像分析結果と照らし合わせました。
その結果、自宅周辺の「囲まれ感」が高い人は不眠症の症状や日中の眠気が少なく、睡眠時間が長い傾向があることが判明。街並みに「安全感」がある場所に住んでいる人も、睡眠時間がより長いことが示されています。
また、街路樹などの緑が多いことは街並みの「安全感」を高めて睡眠時間を延ばす可能性がある一方、歩道や標識が多いと「安全感」が下がり、睡眠時間を短くする可能性が示唆されています。
松下氏は、「本研究は、健康的な都市づくりと住まい選びに重要な示唆を与えます。都市計画の観点からは、適度な囲まれ感を生み出す建物配置や街路樹の植栽、安全感を高める景観デザインが、住民の睡眠健康に寄与する可能性があります。特に、緑を増やすだけでなく、安全に感じられるように緑を配置することが大切です。また、視覚的な歩きやすさを追求する際には、地域の安全感を損なわないよう、防犯照明や見通しの確保などの総合的なデザインが求められます」と述べました。

・関連記事
「寝室の換気」で睡眠の質が向上することが4週間にわたる実験で判明 - GIGAZINE
自然や公園の多い場所に住んでいる人は睡眠不足になりにくいという研究結果 - GIGAZINE
「大学生の睡眠時間を意図的に増やす実験」で本当に学業成績が向上することが明らかに - GIGAZINE
地球温暖化がもたらす寝苦しい夜が世界中の人々の「睡眠」を着実に悪化させている - GIGAZINE
不眠症を悪化させているかもしれない「睡眠に関する5つのアドバイス」について専門家が解説 - GIGAZINE
なかなか寝付けない夜に眠りにつくための6つのヒント - GIGAZINE
睡眠不足の日に昼寝と同じくらい記憶力を高められる「20分の解決策」とは? - GIGAZINE
人類はかつて1日に2回眠っていた、一体なぜその習慣が失われたのか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article If your neighborhood has a 'feeling of b….







