サイエンス

車や鉄道の騒音がうるさい場所に住むことは認知症リスクの増加と関連がある


認知症のリスクと関連しているものとしては睡眠不足激しい肉体労働歯の数などさまざまなものが知られています。約200万人を対象にした縦断研究によって、新たに「車や鉄道の騒音にさらされることが認知症リスクの増加と関連している」と示されました。

Residential exposure to transportation noise in Denmark and incidence of dementia: national cohort study | The BMJ
https://www.bmj.com/content/374/bmj.n1954


Exposure to traffic noise linked to higher dementia risk
https://medicalxpress.com/news/2021-09-exposure-traffic-noise-linked-higher.html

Transport noise linked to increased risk of dementia, study finds | Dementia | The Guardian
https://www.theguardian.com/society/2021/sep/09/transport-noise-linked-to-increased-risk-of-dementia-study-finds

ヨーロッパでは、道路や鉄道の騒音が大気汚染に次ぐ公衆衛生に対する環境リスク要因とみなされており、人口の5分の1が55dB(デシベル)を超える交通騒音にさらされているとのこと。交通騒音は神経障害の発症リスク心血管系疾患のリスクとの関連が指摘されていますが、これまで交通騒音と認知症のリスクについてはほとんど研究されてきませんでした。

そこでデンマークの研究チームは、デンマークに住む60歳以上の人々を対象にした全国規模の調査を行いました。この調査では、デンマークの市民登録システムから年齢および住所の履歴を取得し、2004年1月1日~2017年12月31日の期間前に60歳以上だったか、期間中に60歳になった人々を対象としました。

研究チームは、デンマークのあらゆる住宅地における「最も道路や鉄道に露出した側」と「最も露出していない側」における騒音レベルを推定しました。次に、個人識別番号を基にした被験者が認知症を発症したかどうかのデータと、被験者が1994年~2017年に住んでいた住所を照合して分析しました。なお、研究期間中に特定された認知症例は合計10万3500件だったとのこと。


認知症のリスクに影響を与える潜在的な要因を考慮した後の分析では、より騒音がひどい場所に住んでいた人ほど、認知症になるリスクが高い傾向が確認されました。具体的には、さらされていた騒音が40dB未満の人と比べ、55dBの道路交通騒音にさらされた人はアルツハイマー型認知症のリスクが27%、50dBの鉄道交通騒音にさらされた人は24%高かったとのこと。一方、血管性認知症のリスクは鉄道騒音とは関連がなく、交通騒音のみで関連が見られました。

研究チームは、2017年にデンマークで登録された8475件の認知症のうち、実に1216件が交通騒音に起因している可能性があると推定しています。この中で道路交通騒音に関連するものは963件、鉄道交通騒音に関連するものは253件だったそうです。今回の研究は観察に基づいているため、交通騒音と認知症の因果関係を特定することはできませんが、騒音によるストレスホルモンの放出や睡眠障害などが影響している可能性があるとのこと。


なお、今回の研究では騒音への暴露は家の場所に基づいており、住宅の遮音性能などについては考慮されていませんでした。しかし、今回の研究は調査対象の多さやフォローアップ期間の長さが強みであり、イギリス・ニューカッスル大学の認知神経学科教授のティモシー・グリフィス教授は、「印象的で大規模な研究です」とコメントしています。

研究チームは、「この結果が将来の研究でも確認されれば、交通騒音に起因する病気のリスクやヘルスケアコストの推定に大きな影響を与えるかもしれません。騒音が健康に及ぼす悪影響に関する知識を広げることは、認知症を含む疾病を予防・制御することに焦点を当てた優先順位を設定し、効果的な政策と公衆衛生戦略を実施するために必要不可欠です」と主張。将来的には交通機関や土地計画、建築基準法などを通じて交通騒音を減らすことが、公衆衛生上の優先事項になるだろうと結論づけました。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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