新型コロナで失われた嗅覚と味覚が「特別な味付けのチューインガム」のおかげで回復した事例

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって嗅覚と味覚を失ってしまった男性が、「特別に開発された超強力な味付きのチューインガム」をかみ続けることで、数年ぶりに嗅覚と味覚を取り戻したという体験談が報告されています。
Study Details | NCT07498062 | Multimodal Chewing Gum Flavour Training to Aid Flavour Perception Recovery - a Pilot Study. | ClinicalTrials.gov
https://clinicaltrials.gov/study/NCT07498062
Chewing gum restores dad’s taste and smell years after Covid - Discover SWNS
https://discover.swns.com/2026/05/chewing-gum-restores-dads-taste-and-smell-years-after-covid/
COVID-19の症状のひとつに「嗅覚や味覚の低下・喪失」があり、中にはCOVID-19から回復しても長期間にわたり嗅覚や味覚が失われたままの人もいます。イギリスのスタッフォードシャーに住む医師で、2児の父でもある44歳のポール・ウィックス氏も2022年8月にCOVID-19を発症した後、数年にわたって嗅覚・味覚の喪失に悩まされてきたとのこと。
ウィックス氏は、「私の嗅覚と味覚はコロナ禍で失われ、二度と戻ってきませんでした。ゴミ出しやオムツ替えの時も何の匂いもしなかったのですが、匂いがしないというのは悲しいことでもありました。記憶の形成は匂いに影響されます。誕生日ケーキの匂いや飼い犬の匂い、子どもの頃の思い出の品といったものの匂いがそうです。私は妻や子どもとの良い思い出が作れていないのではないかと心配していました」と、嗅覚や味覚を失ったことのつらさを語っています。

そんなウィックス氏は2024年11月、ノッティンガム大学のニコル・ヤン博士が設計した画期的な臨床試験に参加しました。この臨床試験は、「嗅覚と味覚を刺激するために超強力な味付けがされたチューインガムを、12週間にわたり朝と晩の1日2回かむ」というものでした。
ウィックス氏は臨床試験について、「ニコル・ヤン博士の理論は、味覚を区別する訓練をするには、実際に食べ物を食べなければならないというものでした。このチューインガムは風味をより長く保つように特別に配合されており、かむにつれて実際に風味が変化するようになっています。これらのフレーバーは甘味・塩味・酸味・清涼感のあるメントール・スパイシーな味など、さまざまな組み合わせを狙って調合されました」と述べています。
臨床試験に参加したウィックス氏が朝と晩にチューインガムをかむ生活を続けましたが、最初の数週間は何の変化も感じられませんでした。ところが開始から6週間後、朝食のオートミールに入っていたブルーベリーを口にしたところ、その甘い風味が爆発的に広がるのを感じたとのこと。「何年かぶりに、朝食から味がしたのです」と、ウィックス氏はその時のことを語っています。
それから数日後、ウィックス氏は芝刈り機で犬のフンを踏みつぶしてしまった際、実際に変化が起きていることを確信しました。ウィックス氏は、「犬のフンと刈り取られた草の匂いが五感を刺激しました。それが、何かがうまくいっているという希望を与えてくれました。それから6週間かけて食べ物の味がわかるようになり、シャワー後の子供たちの髪の毛の匂いがするようになり、自分のデオドラントの匂いもわかるようになりました」と話しています。
結果的に臨床試験に参加した16人のうち67%が嗅覚の改善を、そして83%が味覚の改善を報告しました。ヤン博士が率いる研究チームはより大規模な臨床試験に進むため、資金の確保を目指しているとのことです。

記事作成時点では、ウィックス氏の嗅覚と味覚はCOVID-19前の状態に戻っており、コーヒーメーカーに豆を補充することが毎週の楽しみになっているとのこと。ウィックス氏は、「何かを失ってから取り戻すと、改めてその価値を実感するようになります。文字通り立ち止まってバラの匂いを嗅ぐようになるのです」と話しました。
・関連記事
「味覚・嗅覚の消失」は新型コロナウイルスの感染を高確率で予測すると1万8000人のデータから示される - GIGAZINE
新型コロナで失った嗅覚を取り戻すには「4種のアロマを1日2回嗅ぐこと」が有効 - GIGAZINE
新型コロナを発症した人の約半数が数カ月経過しても完全に回復していないことが研究で判明 - GIGAZINE
新型コロナの後遺症「ロングCOVID」は生活の質を著しく悪化させて月の半分以上を機能不全状態にしてしまう - GIGAZINE
新型コロナの影響で「香り付きキャンドルの低評価レビュー」が増えている可能性 - GIGAZINE
嗅覚の喪失はパーキンソン病やアルツハイマー病の初期兆候である可能性 - GIGAZINE
毎晩寝る時にさまざまな香りを嗅ぐことで認知能力が劇的に向上することが判明 - GIGAZINE
遺伝子レベルで味覚が敏感な「スーパーテイスター」は新型コロナに感染しにくい可能性 - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in サイエンス, 食, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article Cases where the sense of smell and taste….







