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AmazonがFacebookの衛星インターネット部門を買収、SpaceXのStarlinkに競合か


AmazonがFacebookの小型衛星インターネット開発部門を買収したと、The Informationが報じました。これにより、Facebookは小型の人工衛星を用いた衛星インターネットサービスの構築を断念したこととなります。

Amazon Acquires Facebook’s Satellite Internet Group — The Information
https://www.theinformation.com/articles/amazon-acquires-facebooks-satellite-internet-group

Amazon bought Facebook’s satellite team to help build Starlink competitor | Ars Technica
https://arstechnica.com/information-technology/2021/07/amazon-bought-facebooks-satellite-team-to-help-build-its-starlink-competitor/

Facebook’s satellite internet team joins Amazon - The Verge
https://www.theverge.com/2021/7/14/22576788/amazon-acquires-facebook-satellite-team-project-kuiper

報道によると、Amazonは数千基の衛星を打ち上げてSpaceXのStarlinkのような衛星インターネットを構築するために、Facebookから12人以上が所属していたワイヤレスインターネット部門を買収しました。LinkedInのページによると、Amazonが引き抜くこととなった人材は航空システムやワイヤレスネットワークの開発に携わってきた光学・機械・ソフトウェアのエンジニアだそうです。


AmazonがFacebookから引き抜いたうちの1人は、同社の衛星インターネット計画である「Project Kuiper」でディレクターを務めるジン・ベインズ氏です。報道によると、べインズ氏は2021年4月にAmazonに引き抜かれた模様。

Amazonが3000以上の人工衛星で全地球をインターネットで網羅する「Project Kuiper」を始動 - GIGAZINE

by PxHere

Facebookはアメリカで放送通信事業の規制監督を行う連邦通信委員会(FCC)に対して、2018年に低軌道衛星を打ち上げる許可を求めました。しかし、Facebookは衛星インターネットの構築をあくまで「小さな研究開発における実験」と呼んでおり、この時点ではインターネットサービスの提供を約束していませんでした。

そして現地時間の7月15日、Facebookは「衛星インターネットを構築し、インターネットサービスプロバイダーや携帯電話会社、あるいは技術ベンダーになることは我々の計画にありませんでした。衛星技術が次世代のインターネットインフラストラクチャーを可能にするということを我々は長らく信じてきました。継続的な取り組みの一環として、当社のチームは光通信と無線周波数システムおよびソリューションを使用して、衛星通信を向上させる新しい方法の設計とテストに焦点を当ててきました。このチームが達成してきたことを本当に誇りに思っています。そして、このチームはAmazonで開発を継続することとなります」と発表し、社内の衛星インターネット開発チームがAmazonに引き抜かれたことを明らかにしています。

Facebookの衛星インターネット開発チームを引き抜いたAmazonは、Project Kuiperで低軌道衛星の打ち上げを計画していますが、競合サービスであるSpaceXのStarlinkに大きく後れを取っています。Starlinkはすでに1500基を超える衛星を打ち上げており、1万人以上がベータテストに参加しています。一方で、Project Kuiperは3236基の低軌道衛星を打ち上げるための承認をFCCから得ており、同プロジェクトに100億ドル(約1兆1000億円)以上を投資する計画があるとしているものの、いつ衛星を打ち上げたりサービスをスタートさせたりするのかについての詳細は明らかになっていません。なお、AmazonではProject Kuiperに500人以上の従業員が従事していると報じられています。


Amazonは2023年の人工衛星打ち上げが「予想の中で最も早い打ち上げのタイミング」と海外メディアのArs Technicaに語っています。しかし、FCCの規則によりAmazonは2026年7月30日までに1618基の衛星を打ち上げる必要があります。また、AmazonはFCCに対して公に「最初の578基の衛星を打ち上げた後、インターネットサービスを提供する予定」と通知しているため、2023年からの4年間で1600基以上の衛星を打ち上げ、衛星インターネットサービスをスタートさせることとなります。

Ars TechnicaがAmazonに問い合わせたところ、「Facebookのコネクティビティチームから少数の従業員を引き抜き、Project Kuiperに取り組むために2021年初頭にAmazonに加入させた」という返答があったそうです。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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