不動産業者なしで「客が勝手にアパートを内覧できるシステム」を作ってしまったアパート管理会社が登場
部屋探しで失敗しないためには、実際に物件を自分の目で見て確かめるのがポイントなので、普通は不動産業者に依頼してオーナーから鍵を借り、部屋まで連れて行ってもらうことになります。そんな一連のやりとりを自動化して、不動産業者に頼ることなく200以上の空き物件を埋めたアパート管理会社が、その方法を解説しました。
We replaced rental brokers with software
https://caretaker.com/blog/we-replaced-rental-brokers-with-software-and-filled-200-vacant-apartments
アパート管理会社・Caretakerの創業者であるロジャー・グラハム氏によると、不動産管理の業務の中で最も大変なのが、借り手を探すことだとのこと。Caretakerでは、アパートの賃借人が一定期間部屋を転貸できるサービスを2019年に開始し好評を得ましたが、サービスが拡大するにつれて現地で借り手候補を案内する不動産業者がなかなか確保できないという問題に直面するようになりました。
不動産業者がいなくても、借り手が自分で部屋の内覧ができる仕組みの検討を始めたグラハム氏らは、まずVR技術を使って部屋を確認できる「バーチャルビューイング」を導入しようとしました。しかし、納得のいくようなVR空間を作るには高価な機材と人手がかかることから、この方法は断念しました。また、無人で鍵の受け渡しができる「Keycafe」のようなサービスも視野に入れていましたが、利用者が鍵を間違った場所に返却してしまうといったトラブルでうまくいかなかったとのこと。いい方法がなかなか見つからないグラハム氏が最後に発見したのが、電子的な方法で解錠と施錠ができるスマートロックでした。
ワンタイムパスワードを任意の時間で発行できる機能を持つigloohome製のスマートロックを使うことにしたグラハム氏は、利用客が自分でキーボックスを操作してカギを取り出せるシステムである「Apartment App」を開発して、キーボックスを売り出し中の物件に設置しました。
Apartment Appで内覧するには、まずサイトかアプリから内覧時間を予約して、金融サービスのStripe経由で支払い情報を登録します。まだ入居を決めていないのに支払い情報の登録を求めるのは、内覧中に物件や設備が破損したりなくなったりした際のためとのこと。
予約が完了するとコードが発行されるので……
そのコードを物件のドアにぶら下がっているキーロックに入力してカギを取り出し、自由に内覧します。
あとは、カギをきちんとキーロックに戻したのを写真に収めてアップロードすれば、内覧は完了です。
グラハム氏らはまた、貸し手が借り手に対して求める収入や犯歴などの要件を入力する欄を設けたり……
借り手が部屋のイメージを一目で確認できるようUIを調整したりして、貸し手と借り手をマッチングするApartment Appを完成させました、
グラハム氏は、「従来の手作業によるプロセスを自動化したという体験談を読むのが好きなので、この解説が皆さんにとって興味深いガイドになることを願っています」とコメントしました。
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