セキュリティ

NSAやFBIが「ロシア政府のハッカーが世界の政府機関や民間機関に攻撃を仕掛けている」と公式警告を発する


アメリカの国家安全保障局(NSA)、サイバーセキュリティおよびインフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)、連邦捜査局(FBI)およびイギリスの国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)が共同で、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)のハッカーが世界中の政府機関や民間機関に対してブルートフォースアタック(総当たり攻撃)を仕掛け続けていると警告を発しました。

Russian GRU Conducting Global Brute ForceCampaign to Compromise Enterprise and Cloud Environments
(PDFファイル)https://media.defense.gov/2021/Jul/01/2002753896/-1/-1/1/CSA_GRU_GLOBAL_BRUTE_FORCE_CAMPAIGN_UOO158036-21.PDF

NSA, Partners Release Cybersecurity Advisory on Brute Force Global Cyber Campaign > National Security Agency Central Security Service > Press Room
https://www.nsa.gov/news-features/press-room/Article/2677750/nsa-partners-release-cybersecurity-advisory-on-brute-force-global-cyber-campaign/

NSA: Russian GRU hackers use Kubernetes to run brute force attacks
https://www.bleepingcomputer.com/news/security/nsa-russian-gru-hackers-use-kubernetes-to-run-brute-force-attacks/

FBI, NSA: Russian military cyber-unit behind large-scale brute-force attacks - The Record by Recorded Future
https://therecord.media/fbi-nsa-russian-military-cyber-unit-behind-large-scale-brute-force-attacks/

NSAをはじめとする政府機関が共同で、少なくとも2019年半ばからGRUの第85Main Special Service Center(GTsSS)に属する第26165部隊がKubernetesクラスタを利用して世界中の組織にブルートフォースアタックを仕掛け続けていると警告しました。Kubernetesクラスタは、コンテナ化したアプリケーションのデプロイ・スケーリング・管理などを行うオープンソースのコンテナオーケストレーションシステムであるKubernetesを実行するためのノードマシンのセットを指しており、第26165部隊はこのKubernetesクラスタからCactusVPN・IPVanish・NordVPN・ProtonVPN・Surfshark・WorldVPNなどの各種VPNサービスを介して難読化を行った上でブルートフォースアタックを続けているとみられています。

GRUによるサイバー攻撃の具体的な手順は、まずKubernetesクラスタから有効な認証情報を特定するブルートフォースアタックを実行し、入手した証明書を用いてExchange Serverのリモートコード実行に関する脆弱性(CVE-2020-0688CVE-2020-17144)などの既知の脆弱性を突いて政府機関や企業のネットワークに侵入。その後は侵入状態を永続化させるためにイントラネット内にSocksプロキシを作成するreGeorg Web shellを展開しつつ他の認証情報を取得し、入手した認証情報を使って内部の電子メールサーバーにアクセスします。


また、第26165部隊は2020年11月から2021年3月にかけてはVPNサービスを活用せずブルートフォースアタックを行ったとのことで、その際には以下のIPアドレスからアメリカの政府および軍事組織、政治コンサルタントおよび政党組織、防衛産業の請負業者、エネルギー系企業、物流系企業、シンクタンク、高等教育機関、法律事務所、メディア企業などに対する攻撃が確認されています。

・158.58.173[.]40
・185.141.63[.]47
・185.233.185[.]21
・188.214.30[.]76
・195.154.250[.]89
・93.115.28[.]161
・95.141.36[.]180
・77.83.247[.]81
・192.145.125[.]42
・193.29.187[.]60

NSAらによると、GTsSSのサイバー攻撃部隊は「APT28」「ファンシーベア」「Strontium」としても知られているとのこと。NSAは2020年8月には、ファンシーベア製のマルウェアツールが国家安全保障を脅かしているとして警告していました。

ロシア政府系ハッカー集団「ファンシーベア」が未発見のLinuxマルウェアツール「Drovorub」で国家安全保障を脅かしているとFBI・NSAが警告 - GIGAZINE

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in セキュリティ, Posted by darkhorse_log

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