NASAの火星ヘリコプターが飛行に成功、人類史上初の快挙
by NASA/JPL-Caltech
NASAが現地時間の2021年4月19日に、無人ヘリコプター「インジェニュイティ」が火星での飛行に成功したと発表しました。地球以外の惑星で動力飛行が行われたのは、これが初めてです。
NASA’s Ingenuity Mars Helicopter Succeeds in Historic First Flight | NASA
https://www.nasa.gov/press-release/nasa-s-ingenuity-mars-helicopter-succeeds-in-historic-first-flight
インジェニュイティは、NASAの火星探査車「パーサヴィアランス」とともに火星に着陸した小型ヘリコプターです。2月19日に火星の地表に到達し、4月5日にパーサヴィアランスから分離され、飛行開始に向けて最終準備を進めていました。
NASAの火星探索機「パーサヴィアランス」から無人ヘリコプター「インジェニュイティ」が分離、地球外惑星での初飛行に向けて準備が進む - GIGAZINE
インジェニュイティの開発と運用を担当するNASAのジェット推進研究所は4月19日に、「太平洋標準時の3時46分(日本時間の19時46分)に、パーサヴィアランスからデータを受信し、これによりインジェニュイティが飛行に成功したことを確認した」と発表しました。
パーサヴィアランスから送られてきた、インジェニュイティが火星の地表から飛び立つ様子は、以下のムービーの開始から14秒ほどの部分から見ることができます。
First Video of NASA’s Ingenuity Mars Helicopter in Flight, Includes Takeoff and Landing (High-Res) - YouTube
ムービーが始まると、インジェニュイティのローターが回転を始めます。
太平洋標準時の0時34分(日本時間の16時34分)、火星における現地時間(太陽時)の0時33分に、火星の地表からふわりと離陸するインジェニュイティ。人類史上初となる「地球以外の惑星での動力飛行」が実現した瞬間です。
インジェニュイティはその後、地上10フィート(約3メートル)の高度を約30秒間ホバリングし、合計39.1秒の初飛行を終えました。
なお、この飛行でインジェニュイティ自身が撮影した写真が以下。火星の地表に、インジェニュイティの本体が影を投げかけているのが見えます。
by NASA/JPL-Caltech
NASAの科学任務部門副担当のトーマス・ズルブシェン氏は、「ライト兄弟が地球上での初飛行に成功してから117年後の今日、NASAのインジェニュイティが別世界で驚くべき偉業を成し遂げました。ライト兄弟とインジェニュイティの飛行という、航空史における象徴的な出来事は、長い時間と1億7300万マイル(約2億7800万km)の宇宙空間によって隔てられていますが、今や永遠に1つのものとなりました。ライト兄弟に敬意を表して、地球外で最初の飛行が行われた場所は、『ライトブラザーズ飛行場』と呼ばれることになるでしょう」と述べました。なお、インジェニュイティには、ライト兄弟が作成した飛行機の翼に使われていた布の切れ端が搭載されているとのことです。
インジェニュイティは、4月22日までに2回目の飛行を実施する予定です。
・関連記事
「人類史上初めての地球以外の惑星での動力飛行」に向けて火星ヘリコプター「インジェニュイティ」が着々と準備中 - GIGAZINE
NASAが火星ヘリコプター「インジェニュイティ」のペーパークラフトを無料公開していたので作ってみた - GIGAZINE
NASAの火星探索機「パーサヴィアランス」から無人ヘリコプター「インジェニュイティ」が分離、地球外惑星での初飛行に向けて準備が進む - GIGAZINE
ついにLinuxも火星に到着 - GIGAZINE
・関連コンテンツ