サイエンス

翼竜の長い首はどのように支えられているのか?

by Tim Evanson

キリンやラクダ、アルパカなど、首の長い動物は数多く存在します。今日までに発見された最も首の長い動物群は恐竜であり、竜脚下目ブラキオサウルスなどは首の長さが最大11メートルに達するとされています。空を飛ぶ恐竜、翼竜も例外ではなく、ケツァルコアトルスなどの首の長さはキリンより長かったとされていますが、その構造はどのようなものなのか、イリノイ大学のカリアド・ウィリアムズ氏が解説しています。

Helically arranged cross struts in azhdarchid pterosaur cervical vertebrae and their biomechanical implications: iScience
https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(21)00306-0


Largest ever flying creatures had longer necks than giraffes – we found out how these pterosaurs kept their heads up
https://theconversation.com/largest-ever-flying-creatures-had-longer-necks-than-giraffes-we-found-out-how-these-pterosaurs-kept-their-heads-up-158835

約2億3700万年前、は虫類の一部が翼竜へと進化したと考えられていますが、当初は小さな生き物であり、翼幅が2メートルを超えることはめったにありませんでした。しかし、1億4500万年前から6600万年前にかけて骨格が変化し、場合によっては9メートルを超える巨大な翼幅を獲得する種まで現れます。

キリンなどの首の長い動物は、他の動物に比べて長い頸椎(けいつい)を持っており、重い頭部を支えるために強固かつ複雑な構造をとっています。翼竜も例外ではなく、飛んでいる最中にかかる風圧やくちばしでくわえた獲物の重量に耐えられるだけの強い骨を必要とします。しかし陸上の動物と違い、ただ骨を太く大きくするだけだと、重くなりすぎた体を飛ばすことができなくなってしまいます。

そのような問題を回避するため、翼竜は「骨を軽くする」という進化を選択します。ケツァルコアトルスを含むアズダルコ科の翼竜は、骨の内部を空洞にし、神経を通す細長い骨を内部に張り巡らせることで外部からの圧力に耐えていました。さらに、今回ウィリアムズ氏らが行ったCTスキャンにより、内部の骨は放射状に配置され、前方または後方に傾斜していることが判明します。ウィリアムズ氏らは、これらの小さな骨が50本存在する場合、骨が耐えられる最大荷重が90%も増加すると試算しています。仮に骨が400本あったとしても最大荷重は10%しか増加しないため、ウィリアムズ氏らは「50本が最適な数なのだろう」と分析しました。


ウィリアムズ氏らは「このような謎めいた構造はこれまで自然界ではみられず、翼竜に対する考え方が変わりました」と述べています。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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