サイエンス

世界初の「ふ化前の卵を抱く恐竜の化石」が見つかる


卵を温めているように、ふ化前の卵の上にしゃがみ込んだまま死亡した恐竜の化石が中国で発見されました。卵の中に胚が残っている状態でこのような化石が発見されたのは、世界初です。

An oviraptorid preserved atop an embryo-bearing egg clutch sheds light on the reproductive biology of non-avialan theropod dinosaurs - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2095927320307635

Researchers Announce World’s First Dinosaur Preserved Sitting on Nest of Eggs with Fossilized Babies - Carnegie Museum of Natural History
https://carnegiemnh.org/press/researchers-announce-worlds-first-dinosaur-preserved-sitting-on-nest-of-eggs-with-fossilized-babies/

Jaw-Dropping Fossil Find Contains a Dinosaur Sitting on an Entire Clutch of Eggs
https://www.sciencealert.com/fossilized-dinosaur-found-brooding-on-a-nest-of-preserved-eggs-with-actual-embryos-inside

化石は「恐竜の時代」と呼ばれる中生代最後の時代である白亜紀のもので、中国南部の江西省・贛州市で発見されました。恐竜は歯がなくクチバシを持つオヴィラプトロサウルス類だとみられています。


発見された化石がこれ。恐竜は少なくとも24個の卵の上にしゃがみ込んでおり、卵のうち7つはふ化しておらず、内部に骨格のある胚を含んでいたとのこと。研究者はこの状況から「子どもはふ化の途中で死亡したのだろう」とみています。


「この種の発見は、特に化石化した恐竜において、非常にまれなものです。大人のオヴィラプトロサウルス類が卵の上にしゃがんでいる化石はこれまでに数件発見されていましたが、卵の中は空でした。今回発見された卵の化石は、ふ化の準備ができていました。このオヴィラプトロサウルス類が通常より長く巣の上にいたということは疑いの余地がありません。この恐竜は思いやりのある親であり、子育てに命を注ぎこんだのでしょう」と論文著者の1人であるクリーブランド自然史博物館の恐竜古生物学者でるMatt Lamanna氏は述べました。

これに対し、化石から「なかなかふ化しない卵を心配して長く温めていた」という解釈はできるものの、このような解釈は問題だとも指摘されています。単純に卵を温めている最中に親が死亡した可能性もあるためです。

なお、発見された化石から当時の様子を再現したイラストが以下。


また酸素同位体分析を行ったところ、一部の胚が他の胚よりも成熟していていることが示されました。これはいくつかの恐竜でみられる「非同期ふ化」と呼ばれる特徴で、後に進化したいくつかの鳥類にも存在します。

さらに、この化石は親の腹部に「胃石」と呼ばれるものがあったという点でも興味深いとされています。胃石は、恐竜が食物をすりつぶして消化を助けるために故意に飲み込んだ石だと考えられているとのこと。

調査を行った中国科学院古脊椎動物古人類学研究所の古生物学者であるXing Xu氏は「この単一の化石から収集できる生物学的情報は途方もないものです」とコメントしました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by darkhorse_log

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