メモ

ナルシシストは本質的に「弱い心」の持ち主である可能性がある


これまで、ナルシシストは尊大な自尊心を持ち、他者に対して優越感を抱いている人間ばかりであるといった認識がなされてきました。しかし、昨今の研究により、ナルシシストには「尊大」と「ぜい弱」の2種類があることや、自身の不安を隠すためにナルシシスト的な行動を取っている可能性があることなどが明らかになっています。

Narcissism through the lens of performative self-elevation - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886921001550

There Are Two Types of Narcissist, And The Difference Is Crucial, Researchers Say
https://www.sciencealert.com/there-s-a-type-of-narcissist-that-s-horribly-misunderstood-which-exacerbates-their-behaviors

自己を愛したり自己を性的な対象と見なす状態「ナルシシズム」、あるいはナルシシズムの傾向を示すナルシシストは、SNSで自分を表現することが当たり前になっている時代、世界中でその特徴を確認することができます。ナルシシズムは、目的のためには手段を選ばない「マキャヴェリズム」や、反社会的人格の一種である「精神病質」とともに「ダークトライアド」と呼ばれ、反社会的な性格とみなされてきましたが、ニューヨーク大学のメアリー・コワルチク氏らが、「ナルシシズムは必ずしも精神病質などと同じものによって引き起こされるとは限らない」との研究結果を発表しました。

コワルチク氏らは20代を中心とした270人を対象とし、「私は自分に満足している」などといった10個の質問に4段階評価で答えさせる「ローゼンバーグの自尊心尺度」、同じく4段階評価で26個の質問に答えさせる「レベンソン自己報告精神病質尺度」など、合計7種類の心理テストを実施。得られた結果を分析したところ、「自己顕示欲の強い人は、不安感や罪悪感といった感情と強く結び付いている」ことを発見しました。一方、精神病質の特徴を示した人は、罪悪感を覚えることが少ないという結果も示されています。


コワルチク氏らはこの結果から「一部のナルシシスト的傾向を示す人物は、ネガティブな自尊心や不安といった感情を覆い隠すための代替手段として自分をアピールしており、その結果生まれる道徳的なジレンマから罪悪感も示す」と推測しています。

2017年に行われた脳スキャンを伴う実験で、自己陶酔的な人物が自分の顔写真を見せられた時に苦痛と葛藤を感じていることが明らかになっています。また、2019年に行われた研究では、ナルシシズムには「尊大」と「ぜい弱」の2種類があり、「ぜい弱」タイプのナルシシストはストレスに弱い傾向があるなどの研究も行われています。

「ナルシシズムには2種類ある」という研究結果 - GIGAZINE


これらの研究を含めた考察として、コワルチク氏らは「精神病質の特徴を持つ人間は『権力を獲得したい』という欲求があるが、対照的にナルシシズムは『ステータスを追求したい』という欲求がある。 『尊大』タイプのナルシシズムは精神病質の特徴とよく似ているが、ナルシシズムの本質はむしろ『ぜい弱』タイプの方であり、ナルシシストは自身に関する不安や苦しみを乗り越えるために自己顕示欲を示しているのではないか」と結論付けています。

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in Posted by log1p_kr

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