ロシア海軍の原子力潜水艦が北極海の分厚い氷をぶち破って浮上する映像が公開中
ロシア海軍が、2021年3月20日から北極海で実施されている研究調査遠征「Umka-2021」の一環として、厚さ1.5メートルの氷を突き破って浮上する能力を備えた原子力潜水艦3隻の映像を公開しました。
Three nuclear ballistic missile subs surfaced simultaneously through the ice in complex Russian Arctic exercise | The Independent Barents Observer
https://thebarentsobserver.com/en/security/2021/03/three-russian-nuclear-ballistic-missile-subs-broke-through-ice-north-pole
Russian Submarine Surfaced Beside Huge Hole Blown Open In The Ice Seen In Satellite Imagery
https://www.thedrive.com/the-war-zone/39971/russian-submarine-seen-surfaced-beside-huge-hole-blown-open-in-the-ice-in-satellite-imagery
H I Sutton - Covert Shores
http://www.hisutton.com/Russian-Navy-Submarines-Surface-In-Artic.html
Комплексная арктическая экспедиция ВМФ России и РГО «Умка-21» - YouTube
分厚い氷に亀裂が入り……
氷の下から潜水艦の黒い船体が現れます。
氷原に並ぶ3つの影。
氷の盛り上がりから、氷の上に出ているのは潜水艦の一部だけだということが分かります。
潜水艦から、搭乗員が顔を出しました。
ズームになると、潜水艦の上に載っている氷塊の断面がかなり分厚いことが分かります。
ロシア海軍の最高司令官であるニコライ・イェフメノフ提督は、プーチン大統領への報告の中で、「3隻の潜水艦は、厚さ1.5メートルの氷を突き破り、半径300メートル以内の領域に同時に浮上しました。これは海軍史上、初めてのことです」と話しました。
科学系ニュースサイトのLive Scienceによると、潜水艦が氷を突破するには、非常に慎重な操縦が必要になるとのこと。具体的にはまず、潜水艦の上部が氷の底に接触するまでゆっくりと浮上します。そして、圧縮空気を使って潜水艦内のバラストタンクから海水を排出して、その浮力で氷を破壊します。潜水中の船同士は通信ができないため、3隻の潜水艦が同時に氷を突き破って浮上するのは生半可なことではないと、Live Scienceは指摘しました。
また、宇宙開発企業のMaxar Technologiesは、潜水艦が魚雷で氷を破壊してできたものと見られる穴を捉えた衛星写真を公開しました。
#Satellite imagery from March 27, 2021, reveals a Russian #naval exercise, known as Umka-2021, in progress. Seen here is a Delta IV #submarine partially broken through the ice south of Alexandra Island. pic.twitter.com/zk9yPue9gJ
— Maxar Technologies (@Maxar) March 29, 2021
海事情報を扱うニュースブログ・HI Suttonは、3隻のうち2隻はデルタIV型原子力弾道ミサイル潜水艦で、もう1隻はボレイ級原子力弾道ミサイル潜水艦のK-549 クニャージ・ウラジミールだと指摘しました。
Umka-2021では潜水艦の浮上のほか、合計で43の軍事イベントが実施されており、ロシア海軍のムービーにはスキー板のような装備を使用する兵士の様子や……
MiG-31戦闘機が空中給油を行っている模様なども収められていました。
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