メモ

ユーザー追跡を防ぐ「AdChoices」の効果はどれぐらいなのか?


人々のプライバシーを守るという観点から近年はサードパーティーCookieの利用が制限されてきていますが、実は、「個人情報の利用をオプトアウトする」というプログラムは10年前から存在しました。「AdChoices」と呼ばれるこのプログラムの精度を、調査報道記者のアーロン・サンキン氏が実験しています。

I Tried to Use the Ad Tech Industry’s Tool to Opt Out of Personalized Ads. Did It Work? – The Markup
https://themarkup.org/privacy/2021/03/25/i-tried-to-use-the-ad-tech-industrys-tool-to-opt-out-of-personalized-ads-did-it-work


ウェブサイトに表示される広告は無作為ではなく、ユーザー個人の情報を基に、「ユーザーの興味・関心が高そうな広告」が表示されます。このような個々人に最適化されたターゲティング広告はブラウザが保存するCookieを利用して個人情報を集めますが、ウェブサイトを離れた後もユーザーの行動を追跡する点が、プライバシーの観点から問題視されています。

多くの人はターゲティング広告を避けたがり、サードパーティーCookieをブロックする拡張機能などを利用します。しかし、サンキン氏はこの逆で、「広告企業のターゲティングをブロックするもの」を全て削除するという行動を取りました。言い換えれば、広告企業がサンキン氏が訪れたウェブサイトや目にしたコンテンツを確実に把握するようにしたわけです。


そして、半年後、広告企業が十分にサンキン氏のデータを取得したところで、インタレストベース広告の自主規制プログラムであるAdChoicesを動作させて、企業のデータ収集を止められるかを実験しました。AdChoicesはDigital Advertising Alliance(DAA)が2010年にスタートしたもので、100以上の広告企業に「個人情報に基づくターゲティング広告からオプトアウトすること」を依頼できます。

AdChoicesを利用するにはまず以下にアクセス。ページを開くと自動的にステータスチェックがスタートします。

WebChoices: Digital Advertising Alliance's Consumer Choice Tool for Web US
https://optout.aboutads.info/


チェックが終わると、以下のようにターゲティング広告に関わっている企業のリストが表示されます。個々の企業にチェックを入れてオプトアウトすることもできますが、まとめて全てオプトアウトする時は赤枠で囲んでいるボタンを押せばOK。


ボタンを押して少し待つと、以下のような画面が表示されます。しかし、サンキン氏がまずFirefoxで実験したところ、129社に対してリクエストを送ったはずが、リクエスト送信が成功したのは91社のみで、残り38社は「一時的に技術的な問題がある」と表示されたととのこと。


不審に思ったサンキン氏が調査したところ、DAAのAdChoicesは広告企業に対して「ユーザー情報のブロック」を試みるものではなく、ユーザーのブラウザに新たなCookieを追加するものだったとのこと。このCookieはDAAの参加企業に対して「過去に収集したユーザーデータに基づいてターゲティング広告を配信しないように」と伝えますが、技術的には企業がデータ収集を続けることは可能です。この点、DAAのルー・マストリア氏は「収集したデータを分類するより、収集自体をやめることの方が容易なので、多くの企業は個人情報の収集をやめます」と主張しています。

ただし、FirefoxはデフォルトでサードパーティーCookieをブロックしています。このためAdChoicesをうまく機能させるにはFirefoxのサードパーティーCookieのブロックを解除しなければならないという、矛盾する状況になってしまったとのこと。

一方でChromeはデフォルトでサードパーティーCookieをブロックしないので、何度かオプトアウトのリクエストを繰り返したところ、最終的に125社のオプトアウトに成功したそうです。最後までオプトアウトできなかったAdstra、LKQD Technologies、Marchex、Pulpoの4社について、マストリア氏は「システムの同期の問題」と説明しました。


このようなAdChoicesの設計はかねてから問題視されています。ターゲティングをオプトアウトするには「サードパーティーCookieのブロックを解除して多くのサードパーティーCookieを受け入れなければならない」というFirefoxの問題だけでなく、Cookieを全削除するとDAAのCookieまで削除されるため、オプトアウトのリクエストが白紙に戻るという問題も抱えています。「ターゲティング広告の現行のオプトアウトシステムにはあまり意味がありません」「オプトアウトではなくオプトインのシステムを設計する必要があります」と研究者は指摘しています。

もともとDAAのオプトアウトリクエストは消費者を助けることを目的としていたのではなく、「プライバシーツールを作成する」という政府の介入を防ぐ意図があったとのこと。一見すると消費者のために見えるツールが、消費者に役立つよう設計されていないというこれまでの背景を見ても、「広告業界に規制の作成を委ねるべきではありません」と、電子フロンティア財団のベネット・サイファーズ氏は主張しています。

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in メモ, Posted by logq_fa

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