学生の代わりに授業を受け論文を書く「教授のゴーストライター」が数千万円規模で横行している
2019年には総額6億円超という裏口入学ビジネスの存在が明らかになり、著名人が多く逮捕される事態になりました。近年、大学で不正が横行しており、検知が難しい「ゴーストライターを雇った論文提出」の横行も問題視されています。公共政策アナリストのスチュワート・ローレンス氏は数千万円規模で展開される「学術的なゴーストライティング」の実情に迫っています。
Academic “Ghost-Writing”: The Cheating Scandal No One Will Discuss
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大学生が自分で論文や課題を執筆せずに、インターネットからコピー&ペーストした文章を使うという不正が以前は存在しましたが、技術が進歩するにつれ、こういった不正を見極めることは容易になっています。
そんな中、アメリカで近年横行していると言われるのが、失業中の作家・教授・助教による「論文のゴーストライティング業」です。この方法は学生が「自分以外の誰かの文章を盗む」のではないため盗作にはあたりませんが、オリジナルの文章を「自分以外の誰か」が書くものなので、犯罪ではないものの学術倫理に反するとローレンス氏は指摘します。
論文執筆代行サービスの存在は新しいものではなく、2016年にはGIGAZINEでも以下のように記事にしています。
論文を失業中の教授などが代わりに書いてくれるサービス「UnemployedProfessors.com」 - GIGAZINE
by randychiu
ローレンス氏は実際にゴーストライティングでお金をかせぐ作家や助教へのインタビューに成功。ゴーストライターたちの話によると、論文執筆代行サービスは上記の「UnemployedProfessors.com」だけではなく、大学生・大学院生・博士論文提出志願者など、さまざまな立場の人向けのサービスが存在するとのこと。
このようなサービスを「論文を書く時間が無い時のピンチヒッター」として利用する人もいますが、大学でいい成績を残して実績を作るために利用する人もいます。雇われのゴーストライターたちは論文を書くだけでなく、オンラインクラスに実際に出席することもあるそうです。
20年以上もサービスが続く「UnemployedProfessors.com」の場合、サービス利用者である学生は論文の課題・長さ・求めるフォーマット・締め切りといった情報を書いてリクエストを送信します。「UnemployedProfessors.com」にはキャッチーなプロフィールが書かれたライターのリストがあり、学生側は好みのライターを選択。やりとりの後に契約が成立したら学生側は入金し、料金はシステム側で保留されます。そして論文が完成して学生に手渡されると自動的に料金がライター側に振り込まれるという仕組みです。
「UnemployedProfessors.com」の料金は論文1ページあたり25ドル(約2700円)と高額ですが、ライター側が料金の未払いを受けるリスクがなく、学生側も確実に完成論文を受け取れるよう保証しています。
一方で、ローレンス氏がインタビューしたゴーストライターのうち何人かはこのようなサービスを利用せずに直接学生と交渉する方法を取っており、1学期・1年単位で仕事を引き受け、1万2000~1万8000ドル(130~200万円)で9クラス分の論文執筆代行を行っている人もいたとのこと。
また代行を請け負っているうちに20歳の生徒が50歳のゴーストライターに恋し、「学期が終わったら会いたい」とリクエストを受けた人もいたそうです。このライターは学生の要望には応じなかったそうですが、その後も学生から連絡が続いているとローレンス氏はつづっています。
ローレンス氏によると、「UnemployedProfessors.com」は論文執筆代行額の23%を手数料として徴収しており、2019年度の収益は25万ドルから50万ドル(約2700~5400万円)だったとみられるとのこと。ライターによっては年間2万5000ドル(約270万円)を稼いでいる人もいるそうです。
大学側もこのようなサービスの存在について認識しているため、授業を持つ教授らの中には論文提出の際に、生徒にその内容を口頭で言ってもらうという試みをしている人も。ただしローレンス氏が大学側に連絡を取ったところ、問題の深刻さを否定されたとのことで、「大学側は事実を知っていますが、知りたくはないのです。それらが一部の生徒によって小規模に行われていると思いたいのです」とローレンス氏はつづっています。
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