自身のやる気を引き起こす「セルフトーク」について知っておきたいこと5選

「セルフトーク」とは、自分自身に言葉を言い聞かせることで、自身の精神状態を改善したり、パフォーマンスを向上させたりするセルフコントロール術の1種です。プロのアスリートにも取り入れられているセルフトークをどのように行うべきかについて、心理学者のジェイド・ウー氏が解説しています。

Score Big Wins with Positive Self-Talk | Savvy Psychologist
https://www.quickanddirtytips.com/health-fitness/mental-health/positive-self-talk

「私はできる」などのポジティブな言葉を自分自身に言い聞かせるセルフトークは、自身精神力を向上させ、身体的なパフォーマンスも向上することがいくつかの研究で分かっています。ポジティブなセルフトークを効果的に活用する方法として、ジェイド氏は以下の5つを挙げています。

◆1：アマチュアに特に効果あり
4大大会の女子ダブルス部門において17勝という記録を持つダブルスの名手ジジ・フェルナンデス氏も、キャリアの早い段階で、コーチから「ポジティブなセルフトークを行う」というトレーニングを受けていたことで知られており、フェルナンデス氏はセルフトークの効果について「コート上でリラックスできた」とも語っています。フェルナンデス氏がセルフトークについて語るムービーは以下から確認可能です。

Gigi Fernandez talks about Concentration during matches on the Road Map to Mental Dominance Program - YouTube

セルフトークに効果があったと語るフェルナンデス氏ですが、セルフトークは熟練したアスリートよりも、アマチュアや若いアスリートに効果があるといった研究があるため、ジェイド氏は「アマチュアにこそ効果が強い」とみています。

◆2：タスクが単純な場合、セルフトークはシンプルなものにする
100メートル走を行う、ダーツを投げるなどのごくシンプルなタスクをこなす場合、セルフトークもシンプルに「できる」と言い聞かせるものにするべきです。バンガー大学の心理生理学者、エドゥアルド・ベロモ氏らの研究によると、動機づけのシンプルなセルフトークは心拍数をわずかに増加させ、安定させるとのこと。

◆3：タスクが複雑な場合、何をすべきかを具体的にしてセルフトークする
複雑なタスクやこれまでにやったことがないタスクを実行しようとする時は、自身へのレクチャームービーを作成するかのように、手順を具体的に説明し、自分自身に言い聞かせることが大切です。ベロモ氏らが行った「ゴルフの初心者にセルフトークをさせた上でプレイさせる」という実験では、動きを明確に自身に伝える「指導的セルフトーク」を行った場合、そうでない場合に比べてパッティングが上手になったとのこと。これは新しいことを学んだり複雑なことをしたりするときに喚起されるトップダウン型注意が、指導的セルフトークによって活性化するためだと考えられています。

◆4：内なる声が話し始めるのを待たず、自分から積極的に話す
何かしらの外的要因が自身の不安や怒りを引き起こすようなストレスの多い状況下にある時、自身に内在する声はネガティブなものになる傾向にあります。一方、積極的にセルフトークを行う場合、自身のやる気を向上させるという研究があります。実際、NFLのトッププレイヤー、エイドリアン・ピーターソン 氏らを始め、多くのアスリートたちが積極的に自身を激励しているとのこと。NFLの選手や心理学者らがセルフトークについて述べるムービーは以下から確認可能です。

Adrian Peterson, Emmanuel Sanders & MORE Stars Mic'd Up Self Talk | NFL Films Presents - YouTube

◆5：第三者目線でセルフトークを行う
ミシガン州立大学の心理学教授、ジェイソン・モーザー氏らが行った脳画像の研究では、悪い記憶について考えたり、嫌なものを見たりしたときは、第三者と話すように自分自身と話すことで、自制心を保つ脳領域の安定を保てることが明らかになっています。つまり、自身に「私は大丈夫」と言い聞かせるよりも、第三者目線で「あなたは大丈夫」と言い聞かせた方が、感情をより落ち着かせる効果があるとのこと。

ジェイド氏は「ポジティブなセルフトークはあなたがアスリートであるかどうかに関係なく、自身のやる気を起こさせ、励ましてくれます」と述べています。